高血糖と低血糖のひらいクリニック

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ひらいクリニック

   外科OGTT脂質異常症甲状腺消化器総合診療科

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インスリン治療変更が成功しだしています

Posted on: 土曜日, 7月 7th, 2012 in: クリニックより

強化型インスリン療法で、一日4回インスリンを打っていた人を、一日1回に変更して、内服を二種類追加することで、血糖値が安定してきて、予想外に早く本人のインスリンの分泌が出てきたことがわかりました。もともと、高血糖と低血糖を繰り返していて、低血糖がしんどいため相談に来られたのでした。しかし、本人は空腹時血糖しか測っていなかったので、食後に400近い高血糖が起きていたことを知りませんでした。HbA1cは8代だったので、その数字だけからは、コントロールができていないとはわからなかったのです。

病状を一番わかっているのは、本人なので、寝る前の血糖はときどき測っていたようで、150を切ると朝に低血糖を起こすからと寝る前にまんじゅうなど血糖を上げるものを食べていたようです。ところが、その影響が睡眠時の高血糖につながり、朝までに350くらいまで上がって朝方に下がってきていたと、24時間血糖測定でわかったのです。

追加した内服は、インクレチン関連薬とそれだけでは安定しなかったために、食後の血糖を抑えるαGIというものです。どちらも、軽症の糖尿病に使う薬なのですが、持効型インスリンと言って、24時間安定して効くインスリンで、全体を下げたのでゆるい薬でも効果があったわけです。でも、びっくりしたのは、自分のインスリンが出てきたことです。

元々がCペプタイド(自分のインスリンの分解産物)が0.5-0.7と糖を負荷してもほとんど反応しない状態でした。それで、基礎的なインスリンだけは残して、治療変更を始めたのです。でも、インクレチン関連薬が聞いてくれば、自分の膵臓のβ細胞(インスリンを出す細胞)が復活してくるのではないかと思っていました。糖尿病の方は、α細胞と言って、血糖値を上げるグルカゴンを出す細胞が肥大してしまっていると言われているからです。狭い場所で、肥大化した細胞がいたら、気の弱いβ細胞はちじんでしまうのでしょう。

こういった変化は出ると予想していたのですが、3カ月はかかると思っていました。ところが、20日ほどで、Cペプタイドが1.0と正常値まで戻ったのです。ひょっとするともう少し早い時点で戻ったかもしれませんが、保険では月に一回しか測ることができないので、結果を見るのが遅くなったわけです。

食事変更も行ったのですが、ご高齢だったため果物を制限しただけでした。果糖はあまりよくないと言われているからです。その後、夕食のでんぷん質をやめてもらいました。夕食はたんぱく質と野菜だけにしてもらったのです。これは、以前にインスリン変更をした患者さんから学んだことです。夕食を野菜中心にしたら、朝の血糖値が低くなるとおっしゃっていたのです。

現在は、ご本人と相談して、寝る前の血糖が下がってきたら、寝る前のインスリンの量を徐々に減らしてもらうようにしています。その辺は、患者さんのほうがよくわかっているからです。今は、インスリンを使わなくてもいけるかもしれないと、わくわくしています。

おすすめの本

Posted on: 金曜日, 7月 6th, 2012 in: クリニックより

本はあまり読まないほうなのですが、検診の現場では、パソコンが使えないので本を読んでいます。それで、最近よかったと思う本が二冊ありました。脂肪細胞の驚くべき真実と100歳までぼけない101の方法です。

脂肪細胞のほうは、内容はかなり難しいですが、本当にびっくりするようなことが書かれていました。2008年にすでにそこまでわかっていたのになぜ一般化していないのかと、びっくりします。いつも感じていた、イメージが実験などで実証されていたのです。講演会などで、断片的には聞いていましたが、ここまでまとまっていたものは初めてでした。

もう一冊は、普段から患者さんに説明していることが、書かれているだけで、再確認になっているだけです。でも、内科検診の時、便秘の相談されたときに、朝食をしっかり食べると治りますよと話して、そんなひまはないからなとおっしゃるので、この本にも書かれていますよ。ボケない方法としても、朝食が必要ですってと話すると、大笑いになりました。

そういえば、やせる方法として、朝食をしっかり食べるだけでもやせますよと話すると、独身だから用意できないといった方がありました。夜の間に、野菜スープなどを作っておいて、豆腐などを追加すればいいだけですよと話した後、独身のほうが自由にできるじゃないですかと話しました。奥さんができると、みなさん幸せ太りになります。奥さんの手料理に気を使って食べ過ぎるからです。

先日、糖尿病関連の薬について、製薬会社と話をしていた時、うちの会社の薬なら、体重も落ちますよと元気よく言われました。いえいえ、患者さんは薬を飲みだす前から、体重が落ちてきていますからと話しました。ちょっとした食べ方の変更で、体重なんて落ちるんですよ。患者さんは、夜間高血糖があったので、夕食のご飯はやめてもらったのです。

ところが、これまた大変。夕食のご飯はやめましょうと言うと、パンならいいのかってなったのです。この辺が栄養指導の難しいところです。糖質は、夜にとるべきではないから、たんぱく質と野菜中心にしてくださいと説明しても、こういった質問が出るのですから。クリニックでは、その人その人に会った食事指導をしているので、本当に大変なんです。

食事を後回しに考えるようになったのは、いつから何でしょうか?それが、からだを壊している原因だと言うのに。。。。

男女同一の基準値はやめましょうよ

Posted on: 木曜日, 7月 5th, 2012 in: クリニックより

脂肪の勉強をしていました。内臓脂肪と皮下脂肪の違い。内臓脂肪は、短期の貯蔵、男性に多い。皮下脂肪は、長期の貯蔵で、閉経前の女性に多く、妊娠や授乳のときに活躍するそうです。内臓脂肪は、いろんな不都合を生み出すので、最近とても悪者にされています。でも、瞬時に敵に対応する男性にとっては、なくてはならないものなのです。でも、使わずにため込みすぎた場合、問題を起こします。メタボリックシンドロームは、主に男性の問題のようです。

最近知ったことで、検査値の基準値の作られ方が検査によって異なることは、意外でした。正常値とは、正常だと思われる人が9割以上含まれる値だと聞いたことがあります。なので、正常でも正常値から飛び出している人がいてもおかしくないのです。ところが、正常を調べて作られたのではない検査値がありました。脂質系です。これ以上高くなると病気が多くなるなどといった調査から、正常の上限が決められているそうです。それじゃあ、正常とは言えませんよね。

男女間で基準値の違うものがあれば、同じものもある。海外では、男女で基準値が違うのに、日本では、同じものもある。その理由として、理論的な意味合いが述べられていました。でも、どうして、いちいち男女を並べたがるのでしょうか?元々の構造から、成長のスピードから、全く違う種だと考えるほうがいいんじゃないでしょうか?女性では、生殖可能年齢の間とそうじゃない時期は全く異なります。そんなことを考えていたら、今の医療の基準値がばからしくなってきました。

メタボの基準も、血液検査の基準値も、最初から男女は、別に考えていいんじゃないでしょうか?それをごっちゃにしているからおかしくなるんだと思います。メタボという言葉も、男性だけに使い、女性は皮下脂肪が主体なのだから、ふくよかでいいんです。最近は、やせすぎの若い世代に警告を出す組織も増えています。実際、診察してみると、筋肉はないし、細すぎるし、腕に血管もない。女性もののファッションは、昔よりずっとタイトになっていて、診察の際にも手間がかかります。

からだを締めすぎるのはよくないですと。昔から言い続けています。締めなくても、スリムなファッションは、動きも悪くなり、からだを自由に動かすこともできないわけで、とっさのときにどうするんだろうと思います。若いのに、糖尿病の一歩手前であったり、すでに糖尿病の初期にはいってる子をたくさん見かけます。みんなスリムなのだからびっくりしてしまいますよ。

糖負荷試験の重要性を医療の現場は忘れています。糖負荷試験じゃなきゃ、糖尿病になる前に発見できないんです。みなさん、どんどん糖負荷試験を受けに行ってください。

男性は、存在そのものが脅威なんです

Posted on: 水曜日, 7月 4th, 2012 in: クリニックより

あるスタッフが話してくれました。男性は、体力も腕力も女性より強いのですが、元々体格もいいから、存在そのものが脅威だと。だから、世の中の男性すべてに言いたい。優しく話してくれって。そうかもしれないなと思いました。からだの小さい女性からは、男性がそばにいるだけで、頼りがいに感じたり、不安に感じたりします。

言い方一つで、変わる内容があります。おなじ言葉でも、強い口調で言えば、反論されてると思い、優しく言ってもらえれば、同意してもらえていると感じます。声のトーン、話す内容、順番、顔の表情、いくつもの要素がイメージを作り上げます。パワハラということがができてかなり浸透してきているにもかかわらず、職場でパワハラを受けている人がいます。ひどい暴言を吐かれて、おびえている人もいます。いつになったら、そんなことがない職場になってくれるのかと本当に思います。

医療機関でも行われているパワハラのたぐいは、患者さんがよく知っています。現場を見たことがある人、見たことがなくてもスタッフの言動から、推測されるからです。ある薬局には、行きたくないと言う患者さんがいました。いつも兄弟げんかしていると言うのです。別の患者さんからも、聞きました。行く気になれないと。なんとなく感じ取るんだと思います。

では、男性陣はどうしたらいいのでしょうか?存在そのものが脅威だと言われても、体型をちじめるわけにもいきません。筋力を落とすわけにもいきません。たぶん、優しい言い方と優しい表情なんだと思います。笑顔もほしいですね。笑顔は、顔で作らなくても、目で作れますから、目で笑ってください。そうしたら、世の女性は、少し安心できるかもしれません。

乳がん治療に関するニュースを見ました(その3)

Posted on: 火曜日, 7月 3rd, 2012 in: クリニックより

乳がんは確かに増えてきました。30年前には、お年寄りの方に見られただけなのに、どんどん低年齢化しています。今や、20人に一人は乳がんになると言われています。その一方で、欧米では減ってきているのです。かかる年齢も、50歳が中心で昔と変わりません。ところが日本は、平均40歳と年齢も下がってきています。なぜこんなことになったのでしょうか?

欧米の文化、食事が普及するにしたがって、乳がんが増えてきたのは明らかで、乳脂肪が悪いことは早くから知られていました。それなら、たばこのように、チーズの箱に、食べ過ぎで乳がんになることがあります。って書いて、乳がんで手術した後の乳房の写真を載せて、かかる抗がん剤の費用を明記すればいいんじゃないでしょうか?健康にいいと言われているヨーグルトだって、乳脂肪が多いのですから、パッケージに注意を載せるべきではないでしょうか?

抗がん剤に対する補助金を考える前に、どうすれば乳がんを減らすことができるかをなぜ考えないのでしょうか?世の女性たちは、マンモグラフィさえ受けていれば安心なんて思ってます。毎回被爆しているのに、そのリスクを分かっていません。検査は、あくまで早期発見をしているだけで、予防どころか被ばくによる乳がんの発生も数字で出ているんですよ。

自分たちの身は、自分たちで守りなさい。患者さんにはいつもそう話しています。行政や国は、なにも守ってくれません。動物性脂肪の摂取量が増えたせいで、乳がんだけでなく糖尿病も軒並み増えています。50年前の40倍だそうです。それなのに、糖尿病になる前に、なりやすい体質の人を発見しようとしている特定検診は、現場ですら意味がわかっていないので、間違った使われ方をしてすたれてきました。

ニューヨークでは、すでにカフェでの大きなサイズの飲み物の提供が規制されました。高カロリー高脂肪の飲み物は、一度に大量に取らせないようにしたのです。なんて素敵なことをするんだろうと思いました。日本では、誰がそういった予防に力を入れてくれるのでしょうか?大阪だけでも、いい医療が受けられる街にしようと、スタッフとともに日夜頑張っています。市への投書もして、ずっとしの動きを観察しているんです。いつになったら、気づくんでしょうねって。。。

気づいた時には、市民はみな病気で寝込んでいますよ。。。。

乳がん治療に関するニュースを見ました(その2)

Posted on: 月曜日, 7月 2nd, 2012 in: クリニックより

十数年ぐらい前からだったかもしれません。乳がんの抗がん剤治療がどんどん変わっていきました。昔は、よっぽど人い人だけに入院で抗がん剤を使っていました。副作用も強かったので、無菌室にして投与していました。手術が終わってから、1-2ヶ月ぐらいだったように思います。手術前に抗がん剤を投与したのは、炎症性乳がんだけでした。乳房全体にがんが回って、乳房自体も膨れ上がるので、抗がん剤で少しがんをやっつけてからしか手術できなかったからです。

ところが、抗がん剤の副作用が軽減されてきて、副作用の弱い薬も出てきて、抗がん剤治療は外来で行われるようになってきました。ひどい吐き気を抑える薬もできたので、気軽に抗がん剤を受けてもらえるようになったのです。外来に、抗がん剤専用の部屋を設けると、国から補助が下りるので、大病院は軒並み抗がん剤のための部屋を作りました。リクライニングができるイスとテレビなどの暇つぶしの設備などができたのです。

また、補助金が大きいため、抗がん剤専門の開業医もできてきました。入院の必要が無くなったから開業医でできるようになったんです。乳がんの抗がん剤治療は、手術後半年間行われるようになり、手術前にも3ヶ月間から半年間という長期間行われるようになりました。そのほうが、予後がいいとわかってきたので、医者も勧めますし、患者さんも希望します。乳がんは、昔は少なかったので、一部の外科医が扱うのみだったのに、乳がんがうなぎ上りに増えてきて、検診事業も盛んになってきました。

学会では、放射線科医、産婦人科医も参入してきて、腫瘍内科も入ってきました。抗がん剤治療を専門に扱う分野です。ところが、抗がん剤は、外来売り上げに貢献しますから、外科が離しませんよ。本来は、外科医は手術だけするものですが、日本では、手術前から手術後まで扱うのが普通なので、いつまでたっても外科医が抗がん剤にもかかわっています。

そのうち、乳がんはビジネスに変わってきました。乳がん検診にもいろんな企業が参入してきて、乳腺エコーは、町医者が気軽に取るようになりました。当然、診断どころではありません。紹介状には、エコーをしたけど、わからんといったような内容が平気で掻かれ、診断名には、乳腺腫瘍疑い、などわけのわからん診断名、わからんのなら、最初から検査をするなと言いたかったものです。

40歳以上に適応があるマンモグラフィは、医療機関や検診施設によっては20歳代の人にも平気で行い、被爆のリスクも説明されていません。乳がんを触ったことがない産婦人科の医者が平気で乳がん検診の触診を行い、乳がんについてのコメントを述べています。私からすると、????ばかりです。

私が乳がん治療を行っていたころは、かかる費用と時間をすべて説明したうえで、治療を選択してもらっていました。抗がん剤をしたからと言って、再発が起こらなくなるなんて補償など何もないんですから。抗がん剤を受けた人の3割程度が、その恩恵にあずかってると言うことを聞いたこともありますから、それなら7割の人は、無駄なお金と時間を使ってしまうのです。

抗がん剤治療の取り合いで、医者同士の対立も見てきました。一体、何のためにやろうとしているんだろうと思いました。明らかに裏金が流れているだろうことも、見てきました。そういったことを見てきたうえで、乳がん治療から離れることにしました。乳がんだけではなく、すべてのがん治療から手を引いたのです。意味がわからなくなったからです。早期胃がんには、内視鏡で粘膜をそぎ取るだけで済むようになりましたが、そうすることで、再発を監視するのに3カ月おきに内視鏡を行い、出てきたがんを見つけては、粘膜をそぎ取り、そのうち、そぎ取れない状態になったから、胃を切除しましたなんて、発表も平気で行われるようになりました。

早期胃がんなら、最初から手術をすれば、治ってしまうものですよ。それを、簡単なもので済まして、結局2年後に手術しましたなんて話している医者の顔が馬鹿に見えてきたんです。一体、その間の患者の不安は、どう考えているんだと思いました。これ以上がん治療にかかわれば、自分がおかしくなるって思ったんです。

乳がん治療に関するニュースを見ました(その1)

Posted on: 日曜日, 7月 1st, 2012 in: クリニックより

乳がん治療に関するニュースをテレビで見ました。抗がん剤治療が高いので、受けることができない人がいると言うものです。それで、乳がんの抗がん剤治療に関して、補助金を出すべきだと言っていました。がん治療は、乳がんだけではないのになぜ、乳がんが問題視されるのでしょうか?

乳がん治療は、この30年でものすごく変わりました。30年前には、乳房をすべて取ってしまう手術が大半でした。その後、放射線治療が、発達して、乳房温存手術に変わってきました。乳がんの周りだけくりぬいて、残した乳房に放射線を当てるのです。月曜から金曜まで、毎日4-5週間当てるのです。元々、乳がんは、多発しているからと乳房を全部取っていたのですが、残っても放射線で焼失すると言う研究成果から、温存手術に変わってきたのです。

でも、元々乳房が小さい日本人が、温存する必要性があるのだろうかと思っていました。元々、乳房がでっかい外国人で普及した方法です。日本人で、乳房を残したら、どんなひどいことになるのか、そういう情報を集めていた時期もありました。たくさんの患者さんに協力してもらって、たくさんの写真を集めたのですが、データ整理をするまでにはいきませんでした。

そのころは、温存をしたら、どんな乳房になるのかを実際の患者さんのサンプルで見てもらっていたのです。人によっては、ひどい変形をしますからね。でも、患者さんは、温存と聞くと乳房の形がそのまま残ると思っていますから。手術で温存したら、からなず放射線を当てますが、当てたら、赤くパンパンに腫れます。それも、見てもらう必要があると思いました。そこまでの過程で、一体医療費はいくらかかるのかも情報提示し、温存するのか、乳房切除するのか決めてもらわないとならないでしょう。乳房切除と聞くと怖い感じがしますが、手術後の胸は、男性と同じようになるわけで、案外美しいんですよ。

でも、もっと変わっていったのはその後でした。。。