高血糖と低血糖のひらいクリニック

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ひらいクリニック

   外科OGTT脂質異常症甲状腺消化器総合診療科

糖尿病の薬

DPP4阻害剤

(グラクティブ、トラゼンタ、ジャヌビア、エクア、ネシーナ、テネリアなど)

インクレチンという消化管ホルモンが血糖値に関係しているとわかり、インクレチンの作用が長く続くように、分解を阻害するという作用です。食後高血糖だけに効いて、低血糖を起こさないので、とても良い効果が得られます。ただ、食事が肉食中心になると効果が出なくなるので、食事管理も大事です。食後高血糖が起きなくなると、急におなかがすくと言うこともなくなり、余分な食欲が抑えられて、体重も減る傾向があるようです。食後高血糖になり出したら、早めに使ってほしい薬です。
副作用は特に感じません。
内服は1日1回タイプと週1回タイプがあります。ジェネリックはありません。

59歳女性の例                                                                               

3年間の服用で膵臓復活の可能性

グラクティブ100mgを3年間服用

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α-GI

(セイブル、グルコバイ、ベイスン、ボグリボース、アカルボースなど)

食後血糖を抑える薬で、食べたものの吸収をゆっくりにする作用です。吸収がゆっくりになるだけで、食べたものはすべて吸収されます。(一時、ダイエット薬と勘違いされていました。)吸収がゆっくりになるので、おなかが張ったり、ガスがたまりやすくなったりします。これは、薬の特性から仕方ないと思います。食後血糖を押さえて、低血糖になることはありません。食物線維と近い効果なので、自然に近い方法を望まれる方には好まれます。食事を始める前に飲みます。食事の途中で気づいて飲んでもかまいませんが、食後では効果はなくなるそうです。
1日3回なので、お昼は飲み忘れる方が多いです。ジェネリックが多く出ています。
耐糖能障害の段階で使えます。他の薬と組み合わせたら、朝食前だけ飲んでいただくなど、3回飲まないとならないとは考えていません。

SGLT2阻害剤

(フォシーガ、カナグル、アプルウエイ、スーグラ、ジャディアンスなど)

血液中の糖分を尿からだしてしまう薬です。血糖値が100以上あれば、尿から糖質をだしてくれます。実際は、腎臓での糖質の再吸収を阻害するというわかりにくい作用です。腎臓が正常なら、血糖値が180以上にならないと尿から糖が出ません。尿の中に糖分をだすので、体重も減ります。1日300カロリー程度だすと言われているので、体重1Kg(7000カロリー) を減らすためには23日程度かかる計算になります。尿に糖分が出るので、膀胱炎になることがあります。尿の量も多くなるので、水分は十分取っていただかないとなりません。体脂肪が多くて、体重が多い人にむいています。体脂肪の少ない人にはむきません。3ヶ月以上飲んでも体重が落ちなくなるので、春と秋に3ヶ月だけ飲むように提案しています。高血糖だけに効いて、低血糖を起こすことはありません。糖質を尿からだすので、肉ばっかり食べる人には効果が出ません。むくみが取れやすいので、むくみが多い人には良いかもしれません。
1日1回です。ジェネリックはありません。

ビグアナイド薬

(メトホルミンなど)

昔からある薬ですが、1500mg飲むことで、良い効果が出ることがわかり見直された薬です。アメリカでは最初に使う薬だそうです。古い薬なので、安いという利点もあります。血液中の糖分を筋肉に移動するという効果なので、運動しない人には効果が薄いかもしれません。高齢者や重病の人には使えません。食後高血糖だけに効いて、低血糖を起こすことはありません。がんになりにくくなるんじゃないかという報告も出ているので、期待できる薬だと思います。これを飲んでいると不必要な食欲が抑えられて体重が減ってくる人が居ます。すべての人にその効果があるわけではありませんが、体重が多い人には良いかもしれません。脂肪肝の人にも良いと言われています。
乳酸アシドーシスという、稀な副作用がありますが、体調の悪いときは飲まないようにしていただければ、大丈夫だと思います。
1日3回です。ジェネリックがあります。

糖尿病の内服薬は他にもいろいろありますが、4種類の薬を中心に処方しています。理由は低血糖を起こさないからです。

糖尿病の内服薬は、食べたものの血糖値を抑える効果なので、体調が悪くて食べられないときは、飲まないことが基本になります。また、最近の薬は“のんでりゃいい”と言うわけではありません。食事が偏りだすと薬が効かなくなります。

薬の効能効果を十分理解した上で、飲んでいただきたいと思っています。

インクレチン関連薬

GLP-1      ▶ 注射タイプで低血糖の危険がありません
―――――――ビクトーザ 11回注射
―――――――ビデュリオン 1週間に1回注射
                       トリルシティ 1週間に1回注射

DPP4       ▶ 内服タイプで1日1回服用と週1回服用タイプ 低血糖の危険がありません

インスリン注射の種類


超速効型
 ▶ 食事前に打つタイプ(1日3回注射)
―――――――商品名:ヒューマログ、ノボラピッド、アビドラ

速  効  型 ▶ 食事前に打つタイプ(1日3回注射)
―――――――商品名:ヒューマリンR、ノボリンR

持  効  型 ▶ 朝か寝る前に打つタイプ(1日1回注射)
―――――――商品名:ランタス、レベミル、トレシーバ
通常は、持効型と超速効型(あるいは速効型)で1日4回 注射
混合型、中間型などは最近はあまり使われなくなってきています

商品名にNがついたり、“ミックス”や“30R”がつくものなどです

インスリン注射の歴史

1920年、カナダの整形外科の開業医が医学雑誌からヒントを得て、糖尿病の専門医に動物実験を持ちかけたことがきっかけでインスリンの発見につながったそうです。

1922年、精製されたインスリンが世界で初めて、インスリンが分泌されないタイプの1型糖尿病に苦しんでいた14歳の少年に投与されたそうです。

1981年(昭和56年) 日本でもようやくインスリン自己注射が健保適用になったそうです。

1986年(昭和61年) 血糖自己測定の健保適用になったそうです。(私が医者になった年です)

糖尿病薬の合剤について

糖尿病薬は2種類がミックスされた合剤が多く販売されるようになりました。高齢者には剤数が減っていいと思いますが、私自身は合剤には反対です。何のためにその薬を飲んでいるのかがわからなくなりますし、副作用が出た場合もどの薬によるものかわかりにくくなります。薬は出来るだけシンプルにしたいので、剤数を最小限に抑えて、それぞれの効能効果を知ったうえで飲んでほしいと思っています。

糖尿病治療の基本は食事です