抗がん剤治療中の方が来られました
Posted on: 水曜日, 10月 12th, 2011 in: クリニックより抗がん剤治療が終わったら、手術をされる予定の方が来られました。最後の抗がん剤の投与を延期したようです。原因は、肛門の痛み。それで、その主治医は肛門専門病院へ行けと言ったそうです。でも、おかしいと思いませんか?抗がん剤が終われば、外科で手術をするわけです。その外科医に診てもらえばいいのではないでしょうか?もし、手術が必要なものであれば、がんの手術の際に一緒にしてしまうことはよくあることです。
もっといけないのは、患部を見ていないことです。見れば痛みの理由がわかったはずです。肛門は確かに外科が扱ってきた分野ですが、内科医であっても、国家試験ではすべての疾患で受験するのです。診断が付けられないようなら、外科医に相談すればいいだけの話です。ましてや抗がん剤治療中の方ですよ。わたしも、抗がん剤治療中の方の診療を開業医にお願いしたことはあります。でも、その際はその抗がん剤でどんな副作用が起きるか、どのタイミングで起こしやすいかなど詳細な情報を添付しました。
ところが、レジメンの略語しか書かれておらず、実際の薬剤名すら書かれていませんでした。わたしは、知っていたので、意味はわかりましたが、抗がん剤など扱ったことのない医者なら、ちんぷんかんぷんです。ましてや、薬の相互作用を考えると安易に薬も出せないと思います。大がかりな治療をしているわけで、その間は主治医が全責任を取るべきだと思います。専門じゃなければわからないのであれば、主治医自らお伺いを立てに、患者に同行してもいいはずです。
抗がん剤と言う大変な治療を受けていて、からだが一番しんどい時期に、別の医療機関に行くように指示し、それも自分で探すように指示するなど、患者のことを考えてないとしか言いようがありません。自分は何も動くことなく、患者だけに指示するなど、もってのほかだと思います。
昔は、外科、内科、麻酔科、病理、検査技師に至るまで、全体でのカンファレンスを行っていました。ひとりひとりの患者の全部の経過をみんなで考えたものです。失敗があったとしても、なぜそうなったかをみんなで考えました。二度と同じことを繰り返さないためです。そういったカンファレンスは、科を超えて、知り合いになれるので、お互い相談しやすくなります。些細な事なら、電話してまで聞けませんが、カンファレンスで隣の席になった時なら聞きやすいのです。
いまさら聞けない○○と言う検査の本が出ているのを知りました。みんな、同じこと考えているんだなと思いました。ちゃんとした教科書には書けないけど、こんなコツがあるよと言うのは、昔は言葉で伝えたものです。でも、今はそれが減っているのでしょうね。いまさら聞けないのではなくて、聞こうとしないからそういう本が出るんだと思います。
日本はもう駄目だ、そんな言葉を周りからたびたび聞くようになりました。でも、私はすでに何年も前からそれを感じています。なんとかならないのか、日々そんなことを考えてしまいます。