高血糖と低血糖のひらいクリニック

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ひらいクリニック

   外科OGTT脂質異常症甲状腺消化器総合診療科

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口の中が苦いんですけど。。。

Posted on: 木曜日, 6月 7th, 2012 in: クリニックより

相談していいですか?口の中が苦くて、耳鼻科に行って薬をもらっていますが、よくならないんです。検診の現場で、相談されました。年齢が高ければ、唾液の出が悪くて、口の中が乾燥していることがよくあるのですが、まだお若い方です。耳鼻科でも、なぜそうなったのかがわかっていないようです。

味覚異常というのは、耳鼻科でも特殊な分野なので、それを扱ってる先生をネットで探していってみてはどうでしょうか?というアドバイスをしました。胃が悪いと口が苦くなるとよく言いますが、それはあまりないですから。また、味覚がおかしいと言うのは、検査では分からず、本人の訴えでの判断しかできないので、案外、気にしすぎで起きてるかもしれません。そんな話をしていました。私自身も、何があってそうなっているか予測ができなかったからです。

ついでに聞いていいですか?いつも、BUNが高いのですが、腎臓が悪いんでしょうか?と新たな質問が出ました。腎臓は、クレアチニンとそれから計算するeGFR が悪くなければ、腎臓が悪いという判断はしません。腎機能が悪い人で、BUNが高くなってくれば、透析をするかどうかの判断に使われるだけです。通常、若干高いだけなら、脱水と判断するくらいです。と説明しました。

検診の時に、絶食で来るから、高くなるのでしょうか?と言われましたが、ほとんどの人は、絶食だけで、脱水にはなりません。脱水の判断は、おしっこが黄色くて少量しか出ないことで判断します。おしっこが白くてたくさん出るようなら、脱水にはなっていません。また、便が固い場合も、脱水です。便の水分も吸収しないと、間に合わないから、脱水だと便が硬くなるんです。

そういえば、おしっこも黄色いし、便も固いです。と、少し顔が明るくなりました。脱水を治そうと思えば、水分を取ることもそうですが、からだに水分を保持しようと思ったら、野菜を取らないとなりません。野菜に含まれる水分じゃないと、からだに水分が保持されないからです。

そういえば、野菜をあまりとっていませんでした。急に、理解できたという顔になりました。野菜、ちゃんと食べます。そう言って、診察室を出て行かれました。検診の現場では、次に会えるとしても一年後です。私の考えがあってたかどうかは、フィードバックされません。そこのところが、普通の診療とは違います。でも、こういった相談があるたびに、私自身も勉強になりますし、なんと言っても笑顔を見られることが楽しいです。

また、今回の件では、何の関係もないと思われた相談事が、同じ理由で起きていたかもしれないことにつながりました。人間の体はつながっているので、当たり前のことかもしれません。

それに、便秘を病気だと思っている人が少ないことが、残念です。なぜ便秘になってるのかを考えてほしいと思います。便秘や下痢はれっきとした病気で、自分が作り出してしまっているのです。食生活、排便姿勢、いろんなことがかかわってきます。すべての治療のベースが、食生活改善です。そのことをもう少し思い出してほしいものです。

ある学会への演題の応募の結末

Posted on: 日曜日, 6月 3rd, 2012 in: クリニックより

なんと却下されてしまいました。2700ほどの応募があったようで、5人の方が審査して結果を出したと言うことでした。仕方ありません。日本という小さな国の一開業医が、連名の医者もなく一人で応募したんですから。保険診療の範疇内で調べて、その結果をまとめたわけで、目新しい検査があるわけではなかったので、人目に付かなかったんだと思います。

海外と日本の医療事情はまったく違います。日本では保険診療という縛りがあるので、何かを研究しようと思ったら、研究費が必要になります。大病院なら、製薬会社などが協力しますが、一開業医にそういったことをするわけありません。それに、製薬会社が絡めば、そこの薬に有利なようなデータにまとめる羽目になってしまいます。そういったことを排除し、純粋にどうなっているのか調べています。

他の学会にも演題を出しているので、その結果を待つとして、それとは別に英語の論文にしようと言うことになりました。連名に医者は必要ありません。協力を惜しまない、看護師たち、検査会社、協力してくれた患者さんたち、その人たちをすべて紹介しようと考えています。もちろん、本人が承諾すればの話ですが。。。現在集まったデータだけでも、あまりに多くの異常が見つかっているので、正常のデータを集めないとならないくらいです。

ところで、今回のことで、学会ってなんだろうって思いました。去年の骨盤底医学会の発表内容を論文にしてくれと要請されました。冊子にするとのことなので、載れば業績になります。それで、書き出してみて、ばからしくなったんです。発表の時に、会場の反応があまり感じられませんでした。座長の先生には、私の言うことも一理あるが、それだけでは解決しない患者もいると言われました。でも、多くの人が助かればいいわけで、なぜ少数の症例にこだわるのか、疑問でした。

その後、日本の学会で発表しても意味がないと判断し、海外に出て行く決心をしました。でも、今回落選してよかったんです。参加費だけでも、7万円、日本と違って、事前に支払いが必要になります。それに、旅費がかかり、発表に出かけている間は、クリニックは閉じないとならないので、損失も出ます。一つの発表だけで、どれだけ費用がかかるか測り知れません。クリニックでは、データを集めるために、研究協力費も出しています。検査会社は、クリニックの負担が少なくなるように、一部は無料で検査してくれています。

それほど苦労して集めたデータを多額の費用をかけて、学会で発表して何の意味があるのかと思いました。何かの研究結果は、知的著作権があります。企業であれば、奨励金などを出しますし、報奨金が出る場合もあります。ところが、医療では、ただで学会で発表するのです。おかしいと思いませんか?業績にはなりますが、業績は1円にもなりません。馬鹿らしい話です。医者に業績があるかどうかは、名前で検索するとわかるようになりました。業績を調べれば、その医者がどこの医局の出身かもわかります。専門分野もわかります。

みなさんも、一度主治医の業績を調べてみてください。結構面白いですよ。

Q Lifeが私の意見を採用してくれそうです。

Posted on: 土曜日, 6月 2nd, 2012 in: クリニックより

薬をやめるという判断の特集を考えてみると言ってくれました。これは、前から私が主張しているものです。胃薬一つでも、やめ時がわからず、延々と飲み続けている患者さんがいます。主治医がやめていいと言ってくれないからでしょう。でも、症状が治まったら、やめればいいわけです。新薬への変更も、なされていないこともあります。薬の量を間違えている医者もいます。検査データをどう読んでいいのか知らないから、そうなるんです。最近は、患者さんが賢くなったので、クリニックには、そういった相談も多く来るようになりました。

びっくりしたのは、バイト先での話です。かなりご高齢で、耳も聞こえが悪く、何が言いたいのかわからないお爺さんがいらっしゃいました。かかりつけがいるのに、薬をくれと言うのです。最初は、かかりつけがいることは隠していました。今飲んでいる薬も、持ってきていません。それでは、薬は出せないと言いました。よくよく聞いていると、主治医に不信感があったようです。血圧が、いつも130/80.そんなわけないやろ。。。そんなことをおっしゃってました。こちらにかかりたければ、紹介状が必要だと言うと、紹介状は書いてくれないと言います。

でも、それでは過去の情報がないため、こちらとしては困ります。ましてや、ご高齢の方は過去の病歴をちゃんと説明できないだろうし、間違ったことを覚えている可能性もあります。胃のポリープを取った、その時出された薬はあわなかった。ポリープを取ったところと違うところに通っている。黄水が上がってくるが、主治医に言っても治してくれない。などなど、お爺さんの話は延々と続きました。とりあえず、今からなら午前の診療に間に合うから、かかりつけに行ってきなさいと診察室を出てもらいました。

ところが、1時間ほどして、診療終了間際に紹介状を持ってやってきたのです。お薬手帳も持ってきました。本気で、転院したいようです。紹介状は、手書きでたくさんの情報は書いてありませんでしたが、お爺さんの話は本当だったようです。

若干薬は変わってしまいますが、とりあえず同じものを出しますね、黄水対策には、1種類だけ追加で出します。一度にたくさん追加すると、薬の効果や副作用もわかりませんから。2週間後に、再度お越しください。

お年寄りの方は、約束を守ってくれますから、2週間後必ずお越しになると思います。改めて、彼の訴えを整理して、薬の変更が必要になると思います。2週間後、そのおじいさんと会えるのが、ちょっぴり楽しみなんです。