ある学会への演題の応募の結末
なんと却下されてしまいました。2700ほどの応募があったようで、5人の方が審査して結果を出したと言うことでした。仕方ありません。日本という小さな国の一開業医が、連名の医者もなく一人で応募したんですから。保険診療の範疇内で調べて、その結果をまとめたわけで、目新しい検査があるわけではなかったので、人目に付かなかったんだと思います。
海外と日本の医療事情はまったく違います。日本では保険診療という縛りがあるので、何かを研究しようと思ったら、研究費が必要になります。大病院なら、製薬会社などが協力しますが、一開業医にそういったことをするわけありません。それに、製薬会社が絡めば、そこの薬に有利なようなデータにまとめる羽目になってしまいます。そういったことを排除し、純粋にどうなっているのか調べています。
他の学会にも演題を出しているので、その結果を待つとして、それとは別に英語の論文にしようと言うことになりました。連名に医者は必要ありません。協力を惜しまない、看護師たち、検査会社、協力してくれた患者さんたち、その人たちをすべて紹介しようと考えています。もちろん、本人が承諾すればの話ですが。。。現在集まったデータだけでも、あまりに多くの異常が見つかっているので、正常のデータを集めないとならないくらいです。
ところで、今回のことで、学会ってなんだろうって思いました。去年の骨盤底医学会の発表内容を論文にしてくれと要請されました。冊子にするとのことなので、載れば業績になります。それで、書き出してみて、ばからしくなったんです。発表の時に、会場の反応があまり感じられませんでした。座長の先生には、私の言うことも一理あるが、それだけでは解決しない患者もいると言われました。でも、多くの人が助かればいいわけで、なぜ少数の症例にこだわるのか、疑問でした。
その後、日本の学会で発表しても意味がないと判断し、海外に出て行く決心をしました。でも、今回落選してよかったんです。参加費だけでも、7万円、日本と違って、事前に支払いが必要になります。それに、旅費がかかり、発表に出かけている間は、クリニックは閉じないとならないので、損失も出ます。一つの発表だけで、どれだけ費用がかかるか測り知れません。クリニックでは、データを集めるために、研究協力費も出しています。検査会社は、クリニックの負担が少なくなるように、一部は無料で検査してくれています。
それほど苦労して集めたデータを多額の費用をかけて、学会で発表して何の意味があるのかと思いました。何かの研究結果は、知的著作権があります。企業であれば、奨励金などを出しますし、報奨金が出る場合もあります。ところが、医療では、ただで学会で発表するのです。おかしいと思いませんか?業績にはなりますが、業績は1円にもなりません。馬鹿らしい話です。医者に業績があるかどうかは、名前で検索するとわかるようになりました。業績を調べれば、その医者がどこの医局の出身かもわかります。専門分野もわかります。
みなさんも、一度主治医の業績を調べてみてください。結構面白いですよ。