患者さんの家族に私の考えが歓迎されたんです
91歳の女性が転院してこられました。事前に地域連携室から状況は聞いていましたが、来られたときは鼻にチューブが入っていて、声をかけても目を開けるだけで、全く動きません。
入院指示を書きながら、なんかおかしいと思っていました。内服薬は10種類を超えています。定期処方箋にそれを移しながら、すでに腹が立っていました。書き終わったときに3種類の薬は消しました。
認知症の薬、うつ病の薬、脳賦活剤です。こんなの飲んでるから、動かなくなるんですよ!家族を呼んで、鼻からのチューブは長く持たないと言いました。地域連携室もそう話してくれていました。
家族は胃瘻はのぞんでいません。そりゃそうでしょう!私は、腹が立っていたので、薬も全部辞めて、鼻からのチューブは抜きましょうと言いました。何とか食べさせたいけど、チューブがあると誤嚥しやすいからです。
矢継ぎ早に私の考えを話して、最後にわかったことは家族はそうしてほしいとのぞんでいたことでした。転院前の病院では主治医が聞いてくれなかったそうです。
すぐに鼻のチューブを抜いて、顔を拭いてあげました。その後、部屋を出たのですが、体を移動させようとすると”痛い”と大声を出したようです。家族が怒ると思いきや、声を出してくれたのが久しぶりだったようで、大喜びしていたそうです。
私は、痛みは取りません。痛いところがあるとしっかり目を覚ましているからです。ひどいかも知れませんが、その方が経口摂取に持ち込みやすいんです。最後まで食べさせてあげたい。いつもそう思っています。