頑固なおじいさん、理由があったんですよ
自宅で生活されていた頑固なおじい様が、食事がとれなくなったと病院に連れてこられました。本人は、入院を快諾したわけではないのですが、入院させられたのです。
話に行っても、聞こえてないようなそぶりで、気に入らないんだろうなと思っていました。ところが、すべてに理由があったのです。看護師が入浴させようと思ってもいうことを聞かないと連絡してくれました。
戦時中を生きてきたから、入浴しなくても病気にならないと言い切るそうです。しかし、あまりに不潔な状況は周りに迷惑がかかります。そういって説得してもらいました。
入浴させてみて初めて分かったことが、巨大な陰嚢水腫があって、それを必死で隠そうとしていたことでした。陰嚢水腫が恥ずかしくて、入浴を拒否してきたようです。
2年ぶりに入浴したようで、風呂に入ってよかったと言っていたそうです。後日、男性の泌尿器科の先生に来てもらって、看護師3人と私と5人で取り囲み、こんなの恥ずかしくないよと言いながら、治療の説明。
結局、痛いわけではないからこのままで様子見るとのことでした。94歳ですもの。その件以来、何か吹っ切れたようで顔が明るくなり多弁になり、冗談も言い出す始末。頑固おやじになっていたのには、理由があったんですね。