ダイイングメッセージってありますよ
私は、タイミングのいい人で、いろんなことがタイミングよくかわすことができます。義理の祖母が亡くなったときも、海外に出かける前の日にお葬式が終わりました。母の腸閉塞も旅先で知ったのですが、待期手術になり大阪に戻ってからの手術になったので立ち会いました。
母の骨折も、手術が終わった翌日に海外に出かけられました。患者さんに関しても同じようなことがあります。私が病院に到着してほどなく亡くなった方もおられ、看護師達は先生を待ってたんだよと言います。
おもしろいことに、お母さんにずっと付き添っていた姉妹は悪いなりに安定しているからと、妹が食事を取りに出て行ったタイミングで悪化し、姉が探しに行った間に心停止しました。この時は、お母さんがにやりとしているなって感じました。
一方で、私がいる間は何とか持って、帰った直後になくなる方もいらっしゃいます。あるいは、突然死で会うことなく病院を去られる方もいます。ある女性教授の時は、コンパクトなどをくださるようなおしゃれな方だったので、最後の姿を見せたくなかったのだろうと思いました。
私は、患者さんのお葬式には出席しない主義でしたが、このときだけは通夜に行かせてもらいました。大学の方だったので、情報も入りましたし、何より残された高齢のお母さんが心配だったのです。
亡くなるタイミング、亡くなる理由、そういったものに必ず意味があります。私はそう思っているので、タイミングがよくなるのかも知れません。手術が2件入っていて、医者が私しかいないときも、たった30分の手術の間に一人の方がなくなりました。
きいつかってくれやったねって、スタッフと話しています。その一方で、自分でタイミングを合わすこともします。死亡診断書に9という文字を書きたくないから、タクシーを急がせることもあります。
死亡診断書を持ち歩く生活ですが、死亡診断書を丁寧に書いてあげたいから、一番大事にしている書類かも知れません。