鍋を食べる?
先生はお鍋は食べないんですか?と聞かれたことがあります。私が想像したのは、土鍋をかじっている姿で、”鍋なんて食べないよ!”と言いました。実は、鍋料理のことを言っていたようで、大笑いしてしまいました。
ある人は、アフリカに行ったら大変だよと言いました。私も、ライオンに食われちゃうよと言ったら、その人は内戦をイメージしていたようでライオンじゃなくて、拳銃で撃たれるよって話と言われました。
私の頭には、草原にライオンとキリン、真っ赤な太陽が浮かんでいました。ある日、昼に往診から戻ってくると、”スーパーマンだねと言ってたんだよ”と言われたので、胸にSの文字を書いて、”Sって書いてないけどなあ”って言いました。
私の頭には、スーパーマンに変身して空を飛ぶイメージがあったのですが、そういう意味ではなかったそうです。空を飛んで往診に行けたら楽なのになあと思いました。
パンを焼いて差し入れすると、“先生が焼いたの?”と聞かれるので”私は焼かないよ、オーブンが焼くんだよ”と言います。言葉って、そのままではなくて、イメージにつながっていって何をイメージするかによってえらく話が変ります。
患者さんの症状の訴え方も同じです。文字どうりとらえると間違った判断をするので、慎重に訴えを聞きます。医者はしびれととらえている症状でも、患者さんにしたら痛みという訴えだったりするのです。
人に何かを伝えると言うことは、とっても難しいことだと思います。