往診って本当にややこしいです
往診はいっとき辞めていました。往診をすると患者さん本人と家族に必要以上に頼られてしまうからでした。しょっちゅう電話が鳴って、不安だというので行かないとならない羽目になる。それで、負担が大きすぎると判断したのです。
特養の往診をするようになって、施設往診は少し慣れてきたので、頼まれて1カ所増やし、出来る範囲では受けるようになりました。ところが、施設往診って本当にややこしいんです。診療時間以外で行かないとならないし、噂ではバイトの時間とかぶってもだめだそうです。
往診に行った時間の記録が必要で、5分から10分程度の診察は必要だろうという話です。でも、医療機関内で行っている診療で時間の記録をチェックされるでしょうか?午前診だけで、50人見ていると自慢している先生が居ますが、180分で割ると3.6分。足の悪い患者さんだと入ってきて出ていくだけでそれぐらいかかりますよ。
5分診療どころか1分も見てくれないという話も聞きます。予約していっても、3時間も待たされたという話も聞きます。体調が悪いと病院に行けませんよね。そこのところを解決せずに、往診だけとやかく言われるのは、本当に心外です。
その一方で、往診が必要かなって思う方も居ます。通院できるでしょうって。でも、施設に入ると家族はそうそう動いてくれません。施設のスタッフが通院につきあうのも限界があります。大手の病院は、施設入所者の診察には、協力的ではありませんから、なおのこと難しいです。
往診の距離制限もよくわかりません。医療機関から16Km以内だったと思いますが、都会ではかなり遠くまで範囲に入ります。逆に、転居などで16Km以上離れてしまった方は、往診を続けてほしいと言われても往診できなくなります。
田舎だったらどうなんだろうと思います。16Kmでは山奥の山村の往診は出来ないのではないでしょうか?国は往診を増やしていく方向で動いていますが、移動の途中で事故をする危険もあり、医師にそれだけの負担をかけるのはどうかと思います。
いろんなことは考えますが、私がしないとならないことは患者さんの診療であって、それ以外のことは事務に任せています。医者の仕事は診断治療に専念することだと思います。早く本業に専念させてほしいと思いますよ。