救急医療の崩壊
関西では2カ所の大学病院で救急部あるいはERが閉じられました。救急部やERというのは、おそらくアメリカドラマのERの影響だと思います。大学病院には元々救命救急センターがあります。 3次救急と言って重症の患者さんの病院間転送を受け入れたり、救急隊からの直接連絡で患者さんが運ばれてくる場所です。一般の方が直接おとづれることはできない場所です。
救命救急センターは手術室のように2重の扉の中にあり、ワンフロアーに見渡せるように別途が配置されています。スタッフは、手術着を着ているので見た目は手術室と変わりがないのです。フロアーには10程度のベットしかなく、容態がよくなればすぐバックヤードに移され、そこから転院になっていろんな病院に移されていきます。
救命救急センターではごく初期の救命治療だけを行うのです。でも、ここにも問題がありました。大きな病院の一部にセンターがあるのに、その病院への転院はできないことが通常なんです。特に、大学病院はおもに外傷以外を扱っていますから、仕方ないのかもしれません。
何年か前から、救命救急センターとは別に救急部とかERといわれる、一時救急を扱う部門が作られるようになりました。一般の病院と同じように救急車を受け入れる場所です。でも、病院のほうでは抱えている患者も多く、1次救急の患者を受け入れることは反対でした。外科系では、予約でベットが埋まっているのに、入院させろと救急部が言って来れば当然困りますよね。
設立当初から、問題が山ほど発生して、現場の医者たちのストレスの元になっていました。私が見る限りでは、アメリカのERと日本のERは全く別のものです。大学病院は、本来の研究業務に専念して、1次救急からは撤退すべきだと思います。
それよりも、民間病院の連携をもっと充実させて、救急の整備をしたほうがいいと思いますよ。