救急車は呼ばないほうがいいと思います
救急を引き受けている側からみると、救急車に搬送依頼をしたほうが病院に受け入れてもらえない状況だと思います。意識がないとか、生死にかかわる問題であれば救急車を使わないとなりませんが、骨折かもしれないとか、痛みがひどいとか緊急性のないものは、病院は引き受けてくれません。
先日も、軽症の方が1時間も先から運ばれてきました。近隣の救急病院がどこも断ったせいですが、1時間かけてくるぐらいなら、大したことはないなと受け入れる側も思います。日曜日だから病院はあいてないと思うのでしょうか?電話してみてほしいと言えば、人手不足の日曜に見てくれるという病院はほとんどないでしょう。
一日待てそうなら、待って週明けに病院に行くべきでしょう。どうしても、見てもらいたいなら、救急車を呼ぶのではなくて、直接行ってしまうのです。来てしまった患者の診療拒否は医師法で禁止されていますから。
昔、血まみれになった子どもを抱えた人が、病院に走りこんできたことがあります。すぐ近くで、車にはねられたそうで、そのまま抱いて連れてきたのです。意識がなかったので、緊急事態は明らかです。外来を止めて、出血だけ止めてから脳のCTを取ると、脳浮腫を起こしていました。すぐに救命センターに電話して、すぐに受け入れが決まり、救急車を呼んで搬送してもらいました。
この場合、救急車を呼んでいれば受け入れてくれる病院を探すほうが難しかったでしょう。子どもの脳疾患となると、扱うところが限られるからです。でも、病院に駆け込んだのでよかったのです。待合にいる患者さんたちは、血まみれの子どもを見れば、ただ事ではないことも分かり、自分たちの順番が後回しになってもいいと思ったでしょう。
その後、子どもさんがどうなったかはわかりません。でも、母親の判断が正しかったと思います。
救急のたらいまわしの問題は、使う側にも問題があるんだと思います。