イレウス(腸閉塞)の怖さ
イレウスは、便が出なくなるという病気です。単なる便秘ではなく、ガスも出なくなり腹痛もあります。嘔吐がある場合もあり、ひどい場合は胆汁を吐きます。原因は様々で、単純にフン詰まりということもあります。大腸がんが、イレウスで見つかることもたくさんあります。高齢者の多い地域では、検診を受けない人が多いので大腸がんのイレウスが非常に多いそうです。
腸閉そくの治療は、内容物の排せつが主で、胃管(マーゲンチューブ)で胃液を外に出すだけの場合もあります。イレウス管という長い管を腸の中にどんどん入れて、小腸の内容物を出す方法もあります。内容物を抜いて減圧するだけで治る場合もあります。
一番怖いのは絞扼性イレウス(こうやくせいいれうす)です。長がねじれることが発端で起きるのですが、急激に悪化して腸の一部が腐ってしまいます。ところが、絞扼性の場合発症から悪化するまでが短時間なので、レントゲンで典型的なイレウスの所見が出ない場合もあり、おなかの張りもあまりひどくなく診断が難しくなります。
イレウス管を入れて様子を見るのか、早くにオペに持ち込んだほうがいいのか判断が難しいと思います。最近、2件のイレウスを経験して、そのうち1件が絞扼性イレウスだったので、ひやひやしました。
一瞬の判断ミスが重大な事態を引き起こしますが、そんな判断ミスは誰にでも起きると思います。日々、綱渡りをしているなと感じます。