インスリンの注射をやめたいから。。。
インスリンの注射をやめたいからと来られた患者さんがいます。何度もひどい低血糖を起こしていたので、低血糖が起きないようにすればいいと思っていました。大幅な治療変更をして、低血糖が起きないようになって、血糖値も安定しだして、高血圧の薬も必要なくなってきました。
なるべく、内服薬の種類を減らして、一日一回など飲みやすい環境にしようといつも考えています。治療変更がうまくいき出して、2種類の内服薬と一日一回に減ったインスリンの注射を一日一回の注射薬だけに変更しました。それで、うまくいき出したと思っていたのです。ところが、患者さんは注射はもう嫌だと何度も訴えます。
それまで、インスリンの注射が一日4回だったので、1回に減れば楽になるだろうと思っていたのですが、そうではなかったようです。体調がよくなってきたら、わがままも出てきますから、わがままを言いだしたのかなと思っていました。ところがそうではなかったようです。
日本語があいまいなので、私がちゃんと理解できていなかったのですが、患者さんは最初から注射の無い治療を望んでいたようです。私含めて、何人ものスタッフが長い時間をかけて患者さんに接してきましたが、注射をやめたいという望みはだれも理解できていませんでした。
インスリンを10年間打っていた人なので、インスリンではなくても注射治療をやめることは大変難しいことです。後5年生きたらいいだけなんや、そう訴える患者さんの望みをかなえるために、糖尿病の治療としては最適ではないですが、内服だけに切り替えることにしました。今まで、低血糖になる恐れを全くないようにしてきたのですが、内服に切り替えることで、低血糖の恐れが出てきます。
そのことも十分説明したうえで、生活の質QOLを重視したのです。治療の目的は、生活の質を上げることですから当たり前のことだと思います。
この治療変更が成功して、患者さんが元気になってくれたら、私たちも元気になるでしょうね。