検診でも、質の違いがありました
検診の仕事はこの1-2年で引き受けるようになったので、それで初めてわかったことがあります。もともと、乳がん検診はやっていました。乳がんの触診は、外科医でも乳がん専門の医者じゃなければ、やりたがらなかったからです。検診だったら、専門医の必要はないはずなのに、医者がやりたがらなかったために、専門医がしていたのです。しかし、ストレスのかかる仕事だし、若い先生に任せるようになって、私はあまりしなくなっていました。
最近になって、産婦人科の先生が、子宮がん検診と同時に乳がん検診をしてくれなくなったと、子宮がん検診をやってくれと言われるようになりました。乳がんはもともと外科だったので、産婦人科の先生は専門ではないのですが、お乳の心配事は、産婦人科に相談されることが多かったので、産婦人科医も乳がん検診をしていたのです。ところが、最近の若い先生は、してくれなくなったそうです。
でも、今の若い先生は、新しい研修医制度で、2年間いろんな科の勉強をしたはずです。私たちの世代と違って、何でも見れるように育てられているはずなんです。でも、専門のもの以外は見ないと言う風に変わってきているようです。そんな事情を聞かされたので、2カ所の病院で産婦人科の外来の見学をさせてもらい、子宮がん検診の技術も身につけ、乳がん検診とセットでやっていました。
春になって、検診施設を変えました。今のところでは、内科検診を中心にやってほしいとのことでした。子宮がん検診や乳がん検診は、ストレスも多いし単調ですから、内科検診のほうがありがたかったのです。ところが、その施設で産婦人科医が休む時は、子宮がん検診の担当になります。それで、施設の設備を見せてもらいました。見てびっくり、かなり進んだ内容でやっているのです。以前、2施設で手伝っていましたが、そことはまったく違います。検診一つでも、ここまで内容に差が出るのかとびっくりしました。
内容が充実している理由は、その施設の責任者の医者がしっかりしているからでしょう。ガイドラインで出てきた内容などは、いち早く察知して、現場に還元したのだと思います。でも、これでは採算が合わないんじゃないかって心配しました。検診は子宮がん単独でやっているのではないので、多少の損失があっても構わないのでしょうね。
自分が検診を受けるなら、設備の充実したしっかりした施設で受けたいですね。