正常と糖尿病
正常と糖尿病の違いを見てみましょう。
左が正常と思われる人ですが、若干インシュリンの分泌が遅れているので、少し将来に不安があります。右は、10年以上前に糖尿病になった人です。軽い糖尿病の薬を飲んでいる状態でのデータです。インスリンがほとんど出ていないのがわかります。
正常と糖尿病。ある日突然左から右に変わるのでしょうか?そんなわけないですね。この間にインスリンを使いすぎていた時期があるのです。
これは、糖尿病になりたての時期でしょう。インスリンをかなり出しているのに、血糖値が下がっていません。糖毒性というものに陥った時期だと思います。ただ、HOMA-Rが高くないので、インスリン抵抗性(インスリンが効かない状態)ではないと思います。でも、すでにインスリンの使い過ぎが始まっているので、インスリンが枯渇してしまうのは時間の問題だと思います。
ここで問題なのが、糖尿病になる前には、空腹時血糖が正常だと言うことです。3人目の方は、検診施設に勤めていたので、毎年検診を受けていました。食後か血糖の指標であるHbA1cも正常だったそうです。年に一度の検診なら、その中間でこういった状況になってもわからないのです。おそらく、次回の検診では、空腹時血糖は正常で、HbA1cが若干高くなり、食生活に気をつけましょうと言われるだけでしょう。
検診の際は、空腹時血糖が高くないと、あまり深刻に考えないからです。HbA1cが多少上がってるだけなら、1か月ほど前、食べ過ぎがなかったですか?と聞いて、そういえば、よく食べていましたと言われれば、食べ過ぎに気をつけましょうね。で、終わってしまう可能性が高いのです。
糖尿病にも、可逆性の時期と不可逆性の時期があります。3例目は、まだ可逆性の時期だと思われます。この時期にちゃんと食生活を整え、薬を使ってでも、血糖値を下げインスリンの分泌を抑えることができれば、間に合うはずなのです。
検査結果をうのみにしないことだとよく話をしています。正常値であっても、何年かの結果を並べてみてください。少しずつでも上がってきていれば、異常になりかけていると思ったほうがいいでしょう。異常になってからでは、手遅れなんですよ。