認知症の分野での悲しい話
認知症を扱う施設に勤める方から聞いた話です。寝たきりになった場合、リハビリなどせず寝たきりのままにしておくそうです。動けるようになると、勝手に出て行ったりするので、動けないほうがいいそうです。それでも、よくなって動けるようになった人は、日中は車いすに縛っているそうです。歩きまわられると困るからです。一日中縛られているので、足はパンパンにむくんでしまうそうです。
そういった職場環境で日常を過ごしていると、当たり前だと思ってくるようです。周囲のスタッフは、何の疑問も感じていないようで、それがストレスになると言っていました。認知症は、家族の愛情が足りないために起きてくるものかもしれないし、死を直前に感じだし、恐怖でそうなってるのかもしれません。
認知症になった人でなければ、何が起こっているのか分からないんだと思います。勝手に家を出て行ってしまう理由も何かあるんだと思います。子供の頃の風景に戻りたがっているのかもしれません。過去に、自宅からかなり離れた場所にいた認知症の方を見たことがあります。○○はどっちの方向ですかと聞かれましたが、地名すら私にはわかりませんでした。かなり遠くの地名だったようで、交番に連れて行き、家族に連絡を取ってもらいました。
手押し車を押しながら、どれだけの距離を歩き続けたのでしょうか?どこに行きたかったのかそれが聞きたかったのですが、その時は警察官に預けてしまったので、それ以上のことはわかりませんでした。家族の話では、しょっちゅう逃亡して誰かに保護されていたようです。
認知症になると、最近のことは覚えていませんが、子供のころや若いころのことは、鮮明に覚えているようです。自分自身の体も、そのころと同じと考えてしまうのかもしれません。昔いた自宅に戻ろうとして、遠くまで歩き続けるような気がします。
年をとれば、慣れた場所から引き離すべきではありません。田舎で一人暮らしをしているご老人のほうが、よっぽどしっかりしていて元気ですから。老人に一人暮らしをさせていると、周囲は非難しますが、私は、ひとりにさせているほうがいいと思います。周りには昔から知ってる友人もいるでしょうし、子供のころからよく知ってる人もいます。周囲の人が、家族の一員になってるんだから、任せていいんだと思います。
親の介護、子供の教育に振り回されるべきではありません。楽しんでやれる範囲で押さえておくべきです。私の母も、昔はしょっちゅう温泉に連れて行ったり、食事に連れて行ったりしていました。近所づきあいが嫌いな人でしたから、私たちが相手をしてやらないとらならなかったのです。ところが最近は、近所の方に何かと面倒を見てもらっているようです。私がどこかに連れて行こうと誘っても、近所の方との約束があるからと断られるようになったのです。
そうやって、みんな自分で方法を見つけて行くものです。無理に変えようとするからおかしくなるんですよ。