女性特有の疾患について
乳がんと子宮がんについて調べていました。検診を含め、事細かにガイドラインで定められています。どうしても納得がいかないのが、子宮頚がん検診で、細胞診がⅢa(昔の分類です)と出た場合、3カ月後に再検査と決まっています。でも、Ⅲaであれば90%はがんにはならないのです。問題は、子宮頚がん検診が簡単な方法ではなくて、恥ずかしさや、人によっては痛みも感じます。どこの医療機関に行ってもできるものではなく、たいがい産婦人科で受けるのですが、かなり待たされるし、産婦人科には妊婦さんや出産後で赤ちゃんを連れた人も来られています。がんの再検査でおとづれるには、あまりいい環境とは言えません。
乳がんについてもそうです。マンモグラフィーは、痛みを伴いますし、人によってはひどい屈辱を感じます。石灰化が見つかった場合、がんかどうか不明な場合は、3カ月後と言うことになります。石灰化が淡い場合は、これが2年近く繰り返されることがあります。
男性特有のがんで、そういったものがないか考えてみましたが、前立腺がんぐらいしか見当たりません。前立腺がんの場合、採血検査でいいようなことを書かれています。でも、腫瘍マーカーと言うのは、早期では上がらないのに、なぜ早期発見をしようとしないのでしょうか?子宮がんや乳がん検診で行われているような、細胞診などをルーチン検査にしないのでしょうね。
前立腺がんでも、細胞の検査は可能です。尿道に膀胱鏡を入れて、前立腺を直視しながら、細胞や組織を採取できるはずです。ただ、下半身麻酔が必要なので、実用的ではないのでしょう。
ここで、がん検診を決めている人、ガイドラインを決めている人を考えると、ほとんどが男性だと思われます。女性特有のがんの学会でも、ほとんどが男性医師ですから。乳がん検診や、子宮がん検診を体験したこともないし、同様の痛みや恥ずかしさを伴う検診を受けることのない男性に、なぜ決められなければいけないのでしょうか?
男性のがん死亡の一位は、肺がんのようです。働き盛りの人がなることも多いので、それならもっと肺がん検診をアピールして、早期で見つけていかないとならないのではないでしょうか?肺がんの検査の中には、気管支鏡と言うかなり苦しい検査もあります。でも、局所麻酔だけでできるので、前立腺がんの早期発見を考えるより、現実的だと思います。
実は、最近知り合いの方のご友人が、肺の腺がんで亡くなられました。私の友人も、50歳で肺の腺がんでなくなりました。お二人とも男性です。働き盛りや、地域で中心になって活動されていた方です。腺がんは、発見が遅くなるため、予後は非常に悪いです。でも、抗がん剤が発達したので、治療がないわけではないのです。
今年度の大阪府医師会の新規入会者の半分は、女医だそうです。これだけ女医が増えてきたんですから、女性特有の疾患は、女性たちで考えるから、男性たちは男性に多い疾患の対応をしたらいいんじゃないですか?と言いたくなります。ガイドラインと言うのは、各学会が出しているもので、法的な拘束力はありません。現場の医師たちは、ガイドラインどうりにやらないと訴えられるときに負けると言っていますが、弁護士に聞くとそうではないようです。
私は、ガイドラインはどの分野でもまだ未完成だと思っているので、勉強はしても従うつもりはありません。人それぞれの生活環境の中で、どういった方法が一番利益になるのかを考えるべきで、知らない人が作ったものなどあてにするつもりはないからです。
医者同士の横のつながりは非常に希薄です。それを患者さんたちがつなげていってくれないかと思っています。医療をいいものに変えるには、患者さんたちの協力が絶対に必要なのです。