印刷業界の変化
クリニックをリニューアルするにあたって、名刺やパンフレットなどいろんなものを印刷しなおそうと思っていました。今までお願いしていたところではなく、知り合いの経営が苦しいところにお願いしていました。今までは、ネット上で試作品、校正、発注などができていたのですが、知り合いの会社は、そうはいきませんでした。
すでに仕上がっている原稿は、データで渡していたのですが、そのままでは使えないとのことで、やり変えていたようです。印刷に使う機械などで、若干の違いがあるのかと思い、そのままお願いしていたのですが、これが大きな間違いでした。3種類の見本が出来上がってきたのですが、当初のデザインとまったく違うものになっていて、説明では、そのほうが安く仕上がるとか、見栄えがいいとかでした。
試作品を作った人は、基本的なデザインは変えていないとのことでしたが、こちらから見ると全く違うものになっています。どうして考えが違ってくるのか、それが不思議でした。
実は、ここには、文字で認識しているか、絵として認識しているかの違いがありました。
昔の印刷は、文字主体で行われていたと思います。なので、文字を読みやすいようにレイアウトします。今の印刷物は、全体のレイアウト重視で、文字はわざと薄くしたり、読みやすいようには考えません。文字も一つのデザインとしてとらえているのですね。バランスのためには、必要事項をすべて書かなかったりします。たとえば、ファックス番号は、末尾の一つの番号が違うだけということが多いので、末尾の4ケタしか書かなかったりします。HPのアドレスについても、htttp//:は抜いてしまうことが多くなっています。
以下にシンプルにして、伝えたい一つのことを浮き上がらせるか、そういったことが印刷技術にも必要になってきています。
縦書きと横書きの文章では、表紙と裏表紙が逆になるそうです。元々、日本語は縦書き文化だったので、欧米から横書き文化が入ってきて、2種類のパターンになったのだと思います。しかし、今それを気にする人はいませんし、むしろ逆にしているほうが、意外性があっていいのだと思います。
知らずにやってることと、知っていてやってることは違うと思います。いくら伝統であっても、伝統を守ろうとするあまり、他のことに負担をかけてしまってはよくないと思います。いろんなことを知った上で、あえて変えていく、それがいま求められているものだと思います。