高血糖と低血糖のひらいクリニック

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ひらいクリニック

   外科OGTT脂質異常症甲状腺消化器総合診療科

救急のたらいまわしについて

救急のたらいまわしについて書かれた、冊子を見ました。埼玉や千葉など人口当たりの医者の数が少ない場所で多く起こっているそうです。しかし、大阪のような大病院が乱立している都会でも起きていると書かれていました。大病院がたくさんあれば、うちが断ってもどこかがとるだろうと思うからです。断った後その救急がどうなったかをすべて知ってもらうようにすればいいと思います。それを知らないから簡単に断るんです。

矢木脳神経外科病院では、連絡が何件目なのかを調べていました。東大阪など遠方からの救急は3件目だということはざらにありました。矢木ならすぐに受けるのだから、最初から矢木に連絡すればいいのにと救急隊に話したこともあります。でも、それはできないそうです。なるべく近くから探さないと、患者さんにも叱られるようです。

救急の記事の中には、ある不幸な話が書かれていました。夜10時に骨盤骨折、受け入れ先がなかなか見つからないために、出血多量で亡くなられた方のことが書かれていました。当直時間帯は、医師が一人しかいないこと、手術までできる準備がないと、骨盤骨折などの重傷は受け入れ困難だということが検証されていました。

でも、そうでしょうか?何をやっても助からないことがあります。骨盤骨折は折れる場所によっては軽傷で済みますが、どうにもならない場所もあるんです。目の前で、出血でおなかが膨れて行っても、手が付けられないことも多々あります。出血というのは、出ていく場所がなくなれば止まります。なので、それを待つしかない状況もあるのです。

この件では、医者が不足する夜間帯に受傷していることはある種、本人の運命だったのではないでしょうか?骨盤骨折でも、何もしないでも治ってしまう場合もあるのです。打ち所が悪かったとしか言いようがありません。

では、夜間の医者を増やせば、たらいまわしはなくなるのでしょうか?現実的には無理です。国が医者の当直は、宿直扱いしているので、必ず翌日に通常業務があるからです。当直医は翌日の仕事に影響でない範囲でしか動けません。また、医者だけでは何もできないので、オペをするならオペ室のスタッフが数人は必要になってきます。病棟と違って、オペ室は翌日には定期の手術があるので、医者と同じ扱いを受けます。寝ないまま次の手術に突入なんてざらにあるんですよ。

あと、冊子に書かれていましたが、産科救急を取ろうと思えば産婦人科医のほかに、麻酔科医、小児科医まで必要だと。それだけそろえるのは難しいだろうと。。。でも、そうでしょうか?そろえてからとる必要はないはずです。とってから一人で手におえないなら、応援を呼べばいいのです。これには複数の病院の協力が必要だと思います。複数の病院の医者がネットワークを作って、何かあれば応援に駆けつける準備をすればいいのです。一つの病院で解決しようとするから無理があるのです。

でも、もう一つ立ち返れば、なぜ専門医を集めておく必要があるのでしょうか?かかりつけ医でもそうですが、救急をする医者はオールマイティで見ることができるのです。夜間は極力、何もしないのが原則です。粘るという言い方をしますが、環境が整う朝まで粘るんです。無理して、何か処置をしようものなら、もっとひどい状況に陥ることを経験上からわかっているからです。

なぜこんなことになったのか、それは民意です。どんな時間でどんな状況でも、専門医に診てくれという民意のわがままから、専門ではないからと断りだしたのです。救急の崩壊は、それを利用する人によって作り出されてしまったのです。変えるべきは民意ではないでしょうか?

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