検査データの読み方について
医療機関で採血を受けた時、異常値の説明しか受けていませんよね。クリニックでは、異常になってからでは遅いので、正常の間に意味を知っておきましょうと説明しています。多くの医療機関で、なぜ異常値の説明しかできないのか、理由があります。ひとつは、一度に多くの採血を検査するためです。多くは、患者さん側からついでにいろいろ調べてほしいと言われるからでしょう。そう言われる前に、自動的にいろいろ調べている場合もあります。
一度に説明できる結果は、5つぐらいだと思っています。なので、クリニックでは一度にたくさんの検査を行いません。最小限の採血結果で、最大限の内容説明を行っています。説明のために、いろんな絵や写真もそろえています。目で見たほうが、意味がわかりやすいからです。データによっては、時間経過とともに見てみないとわからないものもありますし、月単位で見ていかないとならないものもあります。
増加している最中か、減少している最中かによっても違います。一つ一つの値を大事にして、それが何を意味しているのかを考えるようにしています。
特に、甲状腺については、微妙な動きで判断が必要です。正常値であっても機能低下と判断することもあります。また、血清鉄については、正常値になってから貯蔵鉄の補給が始まるので、正常になったからと治療中止はできません。
からだというのは、本当に不思議なもので、ぎりぎりまで症状は出さないし、血液検査でも異常値を出さないのです。正常と思われている裏に隠れているものを予測してこそ、本来の検査だと思います。
検査結果は、看護師からも説明しています。医者だけでは、十分な時間が取れないことが多いからです。看護師じゃなくても、検査に詳しい人ならだれでもいいと思います。ネットなどを調べていると、一般の方のほうが詳しいことがあるからです。
医療に高い仕切りを持たしたくない、そのためには何をしていけばいいか、日々そんなことを考えています。