もったいないから体外受精すればいいのに。。。
不妊治療中の方が何人か来られています。妊娠するまでに、いろんなことを治しておきたいんだと思います。また、不妊治療で使われる薬で、いろいろトラブルも出るようです。そういったことも相談されます。不妊治療というのは、うまくいけばそのまま妊婦さんになってしまうので、何かと気になるのだと思います。
通常の妊娠なら、気付いた時は妊娠しているので、その前の準備をすることはあまりないでしょう。でも、不妊治療の場合は、故意に妊娠しようとしているので、いろんなことが気になるようです。不妊治療で使われる薬の副作用については、私のほうでは把握していないので、それについては、主治医に聞いてくださいと言っています。
でも、そんな思いまでして、不妊治療をする必要はあるんですか?と問いかけます。妊娠しないことも、何か理由があるわけで、人工的に妊娠する必要があるのか疑問なのです。実際、妊娠すると体はボロボロになるそうです。胎児にいろんな栄養がとられるため、母体はいったんボロボロになります。足がパンパンに張れた妊婦さんも見たことがあります。仕方ないそうです。妊娠中だけ、糖尿病になったり、高血圧になったりもします。そういう素因を持った方は、発症してしまうようです。
妊娠するということが、それだけ大変なことで、母体の命にもかかわる大変なことだということを不妊治療中の方は知っているのでしょうか?
子供に恵まれるということは本当に素晴らしいことですが、その陰で本当に大変なことも待ち構えているわけです。
ところが、”せっかく排卵してるのに、体外受精しないともったいないよ”。そんなことを言う人がいます。あいては、数年にわたって、子宮頚がんの細胞診で異型細胞が出て、3カ月おきに細胞の検査をしていた人です。細胞だけでは心配だからと、組織を取る検査も受けていました。本人は、妊娠どころか、がんになる恐怖を感じているわけです。そんな人に、安易に言う言葉でしょうか?
命を授かるということは、そんな安易なことではないと思います。医学の進歩で簡単にできるようになったとしても、子供を迎えるには、生活環境もすべて整えなくてはなりません。また、体外受精には、高額の治療費がかかり、3割ほどしか成功しないそうです。そこまでして、子供を授かろうとするには、本当に強い意志が必要だと思います。
医学が進歩して、いろんなことが簡単になったと思います。でも、それが本当にいいことかどうか疑問を感じることもあります。手間暇かけるからこそ、本当にいいものができるように、医学についてもそうなのではないでしょうか?
子供を育てる環境を、夫婦が十分作ったうえで、ふたりが協力して行うべきことだと思います。女性ばかりに注目されている少子化の問題は、夫婦の関係の部分にまで、立ち戻ってみるべきなのではないでしょうか?