最近のパソコン事情
最近は、昔と違ってかなり柔軟性が出て来たようです。昔はメモリーの追加でさえ、個人でやれば後の補償はしないというスタンスでした。それが徐々に個人でやってくれという方向に変わってきました。また、修理に出すとすべてのデータを消して出荷時状態に戻されていたものも、変わってきてるといいと思います。
データをいったん退避させて、出荷時の状況に戻した後で、元の場所に戻すことは簡単なことなんです。でも、個人情報を扱いたくない業界はそれをしてきませんでした。文句言われたくないからですよね。でも、そんな簡単な作業をしても何万円もとってきたのです。馬鹿げた話です。
私は、医者である一方で、パソコン関係のスキルもかなりハイレベルだそうです。その知識を使って何人もの後輩のデータを守ってきました。医者にとってはデータというのは本当に重要なものだからです。皮肉なもので、パソコンが壊れるのは大事な学会発表の直前だったりするんです。外注すれば、ちゃんとデータは戻ってきますが、時間がないわけです。
そんな事情を知っていたからこそ、自分の時間を割いて協力してきました。また、世間をあまり知らない医者は、患者の個人情報が入っているからと外注したがらないんです。お金がかかることも理由になります。そういったことへの補助は一切ありませんから。パソコンも自分で買い、データ処理の方法も自分で勉強し、医学の進歩につながるような発表をしても、一銭ももらえないのです。
国は、そういったことにもっと補助をすべきだと思います。医療費を削減したいなら、予防医学にもっと投資をすべきなのです。予防するためにはどうしたらいいかを研究している医者にもっと資金を渡すべきなのです。それをしないから、病気ばかり増えていくのです。
医療の業界は、世間から隔離されてきました。今でもそうです。行政も警察も政治家も医療にだけは介入したがりません。でも、自分が同じ目にあったらどう思うんでしょう。他人ごとではないはずなのになぜ考えないんでしょう。自分が病気になった時だけは、特別な手段を持っているからそう考えるんだと思います。
自分の身は自分で守る。クリニックではそういうことを教育していっています。ひとりひとり説得するには本当に時間がかかりますが、ひとりがわかってくれたら、10人に伝えてくれると思っています。波のように輪が広がっていくと信じているんですよ。