食生活がくるっている方が多いようです
以前、心不全も起こしている方を救急で見たことがあります。別の病気で運ばれたのですが、減塩食にして入院してもらったら、4日ほどでパンパンに張れている心臓が、小さくなったのです。本人に聞くと、食事の味が薄くて食べられないと言っていましたので、かなり塩分の多い食事をしていたようです。1か月の入院の間に、血圧の薬を含めていくつもの薬が必要なくなりました。
24時間血糖を測定していても、同じようなことがわかりました。かなりの食事の偏りが、症状を出してしまっていることです。自炊していると聞くと食事の偏りがないかと思いきや、3日間ほど同じものを食べていたりと、ひとり暮らしの自炊のほうが、偏りがあるとわかりました。
医者は、普通に朝起きて、3食食べて夜寝ていると思っています。特に体調不良を訴える人は、食事には気をつけていると勝手に考えています。しかし、そうではないようです。一日3回食後の薬は、食後の必要はないのですが、食後というほうが忘れないと思って指示します。ところが、2回しか食事をしないからと、3回飲まないとならない薬を2回しか飲んでいなかった人もいるのです。慢性疾患だったので、必ず飲んでいないとならなかった薬をです。
サプリメントしか飲んでいない人もいると聞きます。ダイエットのためか、大量のサプリメントを朝と昼に飲んで、食事は夜しかとらない人です。サプリメントでは、ちゃんとした栄養は取れないし、足りない栄養素も出てくるはずなのにです。まだ、人間の体は十分に解明されていないので、そういった偏ったことをしていれば、必ずどこかに支障が出てくると思います。
食生活の偏りで、大量の薬を飲まないと生活できていない人には、保健がきかないようにすればいいと考えました。では、どうやったらそれが見つかるのか、入院させればいいと気付きました。入院中は、糖尿病も高血圧もよくなって薬が減ることはよく知られています。ところが、退院して日常生活に戻ると、元の量が必要になってくるのです。
入院中は安静にしているからだと思いますが、食事の内容もかなりかかわっているでしょう。糖尿病食、減塩食などは、栄養士がしっかり管理して作っていますし、栄養分の偏りもないようにされています。どういった食事をとればいいのかは、こういった入院の際に知ってもらえます。
甘いものや塩辛いものは口が慣れてしまうということもあります。最初の患者さんは、はじめのうちは味がしないと文句を言っていましたが、1か月も入院してると口が慣れたと話していました。最近は、コンビニでも健康的なお惣菜が多く売られています。ひとり暮らしの自炊の人には、コンビニを活用するように話しています。
どこかの病院で、こういった教育入院を積極的にしてくれたら、飲まないとならない薬はかなり減らすことができると思います。昔は、大家族だったので、料理の品数も多かったでしょうし、近所の人と料理を持ち寄ってお茶をしたりしていました。そんな中で、どの家庭でも同じようなものを食べることができたのだと思います。核家族になり、自宅に食事に呼ぶこともなくなり、食の偏りが悪化してきていると感じます。