一番支払いをしてもらえないのが医療なのです
一番支払いをしてもらえない業種が医療だと知っていました?厚労省の地方分局の近畿厚生局には、これはしてはだめ、これはしないとだめといろいろ指示されます。実際に診療をした後は、国保連合とか社会保険機関に、これは支払えませんとか平気で言われます。それをいう人たちのほとんどは、医療を知らない人です。
現場を見てない人たちに、カルテとレセプトの紙だけでとやかく言われるんです。実際に患者さんを見てもらえれば、必要だとわかってもらえるはずのことも、現場にはきませんから、器械的に処理されます。
飲食店でアルバイトしていたこともありますから、一般の業種がどれだけの利益を出しているかも少しは知っています。そういった目で見れば本当におかしな世界なのです。医療がサービス業だと知っていましたか?飲食店と同じなのですよ。でも働いている人は、善意で動いています。なんとか患者さんの苦痛を取りたくて、日々悩んでいるのです。どうしてそんなギャップがあるのでしょうか?
ドイツではかなり昔から医者がタクシードライバーをしていました。医者が余ってきたからでしょう。ところが日本は現在になって医者不足と言われています。30年ほど前には、医者は余るからならないほうがいいと言われていたのにです。当時は、歯医者になるほうがいいと言われていましたが、シカは今は飽和状態になり経営が苦しいようです。
どうして日本は医者不足になったのでしょうか?たぶん、使える医者が減ったのだと思います。専門家が進み、専門以外はほかの科にふるようになり、本当は一カ所で済んだ受診も何カ所も行かないとならなくなりました。それとは別に、病気が増えた気がします。本当の意味での病気ではなくて、病気を作ってしまっている気がします。昔に比べて、病気だと思ってる人が増えています。
今の医療は医療関係者が生活できないほどに追い詰められています。うちのクリニックはもうからないことを分かったうえで開きました。スタッフもそのことを分かってくれています。足りない分はほかで働けばいい。そう考えています。医者がもうかっているなどといった話は、すでに20年以上前の話です。なぜこんなことになったのかは、国民と政府の考えが変わってきたからでしょう。
政治にも法律にも何も頼る気はありません。一国民から何事も変えないとだれも変えてくれないからです。クリニックという枠にとらわれず、なんでもやっていこうと考えています。枠にはまる必要はないからです。日常の延長線上にいろんな商売があって医療もその一つに過ぎません。たったそれだけのことなのに、誰が難しくしてしまったのでしょうね。