中国の方が来られました
たぶん留学中なのだと思います。日本語は少し話されますが、やはりなかなかニュアンスが伝わりません。他の方の倍時間をかけましたが、納得してもらえなかったようです。大したことない、それだけのことが伝わらないのです。日本人相手でも同じことが言えます。大したことはないということや、異常ではないということの説明はとても時間がかかります。異常があるほうが説明しやすいのです。
異常がなければ、なぜこんな症状が起きるのか、それを説明しないとならないのです。その辺のことになると、異常とは何か、病気とは何かという話にもなります。どこまでが正常で、どこからが異常か。。。二つにきっちり分けることなどできませんから、ボーダーラインというものが生じます。ボーダーラインに入ると、異常ではないけど、全く正常でもないということになりますね。
これらの線引きは、人によっても違ってきます。まったく何もない状態にならなければ、治ったと思ってもらえない人、そこそこ改善すれば、治ったと思ってくれる人、かなりひどい状態だと思っても、本人は何とも感じてない場合もあります。一体治療というのは、何を持って完了するのでしょうか?
生活が楽しく過ごせるようになればいいと私は思っています。不安を取り除いて、毎日の食事や生活が楽しく笑って過ごせるようになれば、治療は完了だと考えています。どこかに不具合があっても、それを別のことでカバーできればいいし、制限ばかりの生活をしても楽しくありませんよね。
食事療法が一番大変だと思います。ほとんどの食事療法は、あれを食べてはだめ、これも食べてもダメと言われます。でも、言い方一つですよね。あれは食べてもいいし、これも食べてもいいです。駄目なものでも、少量にすればいいわけで、好きなものは楽しみに取っておいて、何かのご褒美に食べるように変えればいいだけです。
外から体に入れて、外に出すのは、食事くらいですよね。だからこそ、食事の間違いがいろんな病気を引き起こします。からだに不足しているものは、からだが要求しだすので、それに従っていればいいのですが、見た目で気を引く食品が多いですよね。町にはおいしそうなものがあふれています。私は持病があるので、そのおいしそうなものはほとんど食べることができません。いつも眺めているだけですが、それでも楽しいです。昔食べた時の味を思い出して、こんな味だったよねと考えるだけで、食べた気になるんです。
食べられないのに、作るのも好きです。ケーキやパン、美味しそうなものを作っては、少量だけ味見をして周りの人に食べてもらいます。おいしかった時の顔を見るのが好きだからです。人間は、美味しいものを食べた時本当にうれしそうな顔をします。そういった顔を見てるのが楽しいのです。たぶん、飲食店をされている方は、それが楽しくてしているのだろうなと思います。
医療の現場には、不安で顔を曇らせている方が来られます。それが、帰るときには笑顔に変わっていればほっとします。笑顔で帰られなかった方は、心に残ります。どうして、笑顔まで持っていけなかったのかと考えてみます。それで、説明の方法がいろいろ変って行ったりもします。来られた方が、みな笑顔で帰ってくれる日もきっとくるよって思いながら毎日を過ごしています。