高血糖と低血糖のひらいクリニック

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ひらいクリニック

   外科OGTT脂質異常症甲状腺消化器総合診療科

土地に密着した生活

 日本は、本来土地と生活してきました。農耕民族だったので、土地を大事にして、そこに定着して生活をしていました。結婚とういう方法も、昔は男性が女性の家を夜這いする通い婚だったそうです。複数の男性だった可能性もあり、生まれた子供は、女性のもとで地域の子供として育てられたそうです。

 日本が、核家族になってきたのは、昭和に入ってからでしょう。万国博覧会のころにアパートができだしたと聞いています。家系を重視してきた生活から、核家族での生活を求めだし、土地から人が離れ出しました。ベビーブームが起こり人口も増え、核家族での生活が正しかったかに見えたのだと思います。

 でも、核家族になり日本のいろんな伝統が失われてきました。欧米の大陸にすむ人の多くは、狩猟民族です。狩りをするためには、住む場所も転々としなければならなかったわけで、少人数の家族で移動していたと思います。そういった生活の中で、いろんな家族でのルールもできていたと思います。それを学ばずに、核家族だけ取り入れてしまった日本は、正しかったのでしょうか?

 睡眠時無呼吸症候群という病気があります。その勉強会の時に興味ある話を聞きました。日本では、”温泉に行ったときに、友人に指摘された”などと表現して受診してくるようです。欧米では、奥さんが状況を事細かに説明します。どこが違うのかというと、日本ではいびきなどの問題が出れば、寝室を別にしていることが多いのです。欧米ではそれはあり得ません。ベットはダブルにして、一緒に眠るのが当たり前だそうです。

 その違いが何かと考えてみると、狩猟民族と通い婚だった民族の違いのような気がします。狩猟民族は、いつ的に襲われるかもしれないから、必ず一緒に眠っていたのでしょう。農耕民族ではそういった不安がなかったから、一人でゆっくり眠る法を選択するのだと思います。

 現在の日本では、結婚しない若者と、年をとっても一人で暮らす方が増え、家族がいても同居しない老人も増えています。家族といて気を使うより一人でいるほうがましだと考えているのだと思います。救急の現場にいるとそれがひしひしと伝わってきます。一人暮らしだから不安で仕方ないと、ちょっとしたことで救急車を呼ぶ人がいます。ところが、家族が状況の説明を聞きに来られるんです。近くに住んでいるわけですよね。”そんなに心配なら、娘さんと暮らしてはどうですか?”と言っても、いろんな理由をつけて、それはできないと言われます。

 老健施設などが充実しだして、家族がいても入所されている方も多くなりました。ある高級なマンションから運ばれた方は、脳梗塞を起こしていたのですが、何年も前から喋ったことがないと家族がおっしゃってました。しゃべれるはずなのにしゃべらずに、食事だけはしっかり取っていたようです。2週間ほどの入院でしたが、毎日話しかけてみました。知らん顔して食事をとっておられたのですが、退院が近づいたころ、いつものように話しかけてみると”ごはん”と発語があったのです。

 しゃべるということは大事なことです。一人で暮らす人が増えたことと、ペットブームは何か関係があるのかもしれません。みなペットに話しかけていますから。施設が充実しだして、本当に熱心な介護士さんたちが面倒を見てくれるようになって、ご老人達の笑顔も増えてきたように感じます。でも、これが成功だとは思えなくなっています。家族が頻回にお見舞いに来る方と、ほとんど来られない方では、リハビリの進み具合も全く違うのです。

 本当に、今のままでいいのだろうか?そういう疑問を持ちながら、まだ解決策が思いつかないでいます。

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