顔面神経けいれんについて(脳外科の立場から)
疲れなどで,ときどき眼瞼の周りがぴくついたような感じがするときがありますが,それ以外の,典型的な片側の顔面けいれんは,顔面神経に血管が接触することで起こります.ストレスや血圧の上昇などで,悪化することはありますが,基本的に自然に治ったり,トレーニングで治ったりすることはありません.まれに,小脳橋角部の腫瘍の最初の症状であることもあり,頭部MRIで腫瘍の有無や血管圧迫の有無をチェックする必要があります.血管圧迫の場合は,最初の症状は,時々出現し,ストレスを排除したり,血圧を下げたりすると,軽快します.ただ,女性の場合は,人前に出た場合など,少し緊張すると,血圧が上昇して,症状が出ます.血管圧迫は,生命に関わる病気ではありませんので,トレーニングなどで,放置しても問題となることはありません.しかし,加齢にともない,顔面けいれんの症状は,徐々に進行します.治療としては,保存的にテグレトールの内服,内科的には,ボツリヌス毒素の眼輪筋周囲への治療,外科的には,原因治療になりますが,神経血管減圧術となります.
富永脳神経外科病院 脳神経外科 北野 昌彦先生より