死亡診断書と印鑑を持ち歩く生活
往診をしていると、死亡診断書とそこに押す印鑑を持ち歩かないとなりません。現在、3カ所の施設から往診に行っているので、3カ所の施設の印鑑が押された死亡診断書を持ち歩いています。
私は、死亡診断書だけは丁寧に書いてあげることにしているので、事前に書いておくなんてことはしません。重症化したら、すぐに死亡診断書を書いて用意しておく医者もいますが、私は患者さんに失礼だと考えています。
でも、亡くなってすぐ書く場合は手がしっかり動かないこともあります。一番大事なことは直接死因の病名とその病名がついて何日後に亡くなったかを記入する欄になります。
そこがいい加減だと、家族が納得しないこともあるからです。死亡診断書は国が統計を取るためにあるようなもので、直接死因とその原因になった病名が重要になります。
がんによる死亡が増えてきたなどという報道は死亡診断書から出てくるわけです。私は、外科医ですから、術後24時間以内の死亡は術死ということになり、外科医は一番嫌います。
病院で手術を行っていたときは、なんとしても術死にはならないようにがんばったものです。直接死因で、老衰が減ってきたことは病気が増えたと言うことではありません。高齢者にも余計な検査をしているってことでしょう。
昔の老衰のほとんどは、胃がんで食べられなくなって起きていたことだと思うからです。