糖負荷試験がなぜすたれてしまったのか
私が医者になりたてのころは、術前検査で必ず糖負荷試験を行っていました。手術をする患者に糖尿病があれば、いろんなことに影響するからです。ところが、2時間にわたって4-5回採血するめんどくさい検査はいつの間にか行われなくなっていました。
HbA1cという、便利な検査が出たから行わなくなったと思っていました。ところが、そうでもなかったようです。1997年の米国糖尿病協会の診断基準で、随時血糖200以上と空腹時血糖126以上が糖尿病とされ、糖負荷試験を日常診療で行うことは推奨できないとされたのです。
耐糖能障害(IGT)の人は心筋梗塞など心臓の病気を起こしやすいと言われていたのに、それが無視され、あくまで空腹時血糖の高い人となったようです。その結果、日本でも糖負荷試験がすたれていったのだと思います。
でも、太って糖尿病になる人が多い、アメリカ人の話ですよ。体格が全く異なる日本人にあてはめてよかったのでしょうか?乳がんの世界では、欧米の乳がんと日本人の乳がんは性質が違うと昔から述べられていました。糖尿病だってそうだったのではないでしょうか?
空腹時血糖が正常なのに、糖尿病になりかけている人をよく見かけます。食後1時間の血糖値を見ていないと早目に見つけることが出来ないのです。正常値でも、年々上がってきていれば、要注意です。糖負荷試験を受けてみてください。