薬の1包化はやめるべきでしょう
薬の1包化とは、朝、昼、晩、寝る前など飲む時間帯ごとに薬をひとまとめにするものです。高齢者に行われています。特に、院外薬局が増えてきて、1包化が増えています。
なぜ1包化がよくないかというと、何の薬を飲んでるかわからないからです。何の薬を飲んでいて、どんな効能があるかを知らないと、ちゃんと効かないでしょう。それと、薬が増えても一気に飲めるから楽なんです。そんなことしてるから、薬はのんでりゃいいって思っちゃうんです。
以前やっていた開業では、院内処方だったのですが、お金もないし、スペースもなかったから、1包化の機械は持っていませんでした。そうすると、いくつもの飲み方で処方すると患者さんから苦情が来ます。飲み忘れも起きやすいし、わけわからなくなるんです。
そういった場合、夜飲むほうが効果があっても朝食後に薬をまとめるようにします。朝食後が飲み忘れが少ないからです。数が多いと薬だけでおなかが膨れると言われるので、なるべく数も減らそうとします。そのために、定期的に血液検査をして、正常値になれば一時薬を休憩してもらっていました。
血圧の薬も、夏場は不必要になる人がいますから、涼しくなりだしたら血圧が上がってくるから、薬を再開しないとならないことを十分説明して、夏は休憩してもらいます。
ところが、1包化にするとそういった細かい操作が難しくなります。薬のセットを作ってしまったら、必要なくなった薬があってもセットから取り出すほうがめんどくさいからです。セットを作るために、薬局は早めに依頼をしてほしいようです。実際飲み始める日より何日も前にセットを作るのです。
セットを作るのは手作業ですから、当然ですよね。薬をシートから出して、朝はどの薬との組み合わせ、などと考えながら作らなければなりません。そこに飲み込みが悪い人には粉砕という操作をします。粉にしてしまうので、個別に薬を分けられなくなります。不必要になってもすぐにやめられないんです。
では、飲み込めなくなった人に、薬を飲ませる必要があるのでしょうか?食事も口からではなくて、チューブからの注入になって、薬もチューブから、当然本人の意思は関係なく行われます。本人が薬を飲みたくないと思っていても、こうなったら無理やり流し込まれるのです。
そこまでして、薬を飲ませないとならないのでしょうか?当然、やめれば命が危なくなる薬もありますが、そうではない薬のほうが多いでしょう。
便利になっていい時代だと思いますが、それによっての弊害もいっぱいあります。薬の1包化をやめるだけで、薬漬けの生活から解放されるんじゃないでしょうか?