糖尿病関連の勉強会に行って、不思議に思うこと
糖尿病関連の勉強会によく行くのですが、不思議なことに食事療法については、あまり語られることがありません。製薬会社がバックアップしているせいか、薬の使い方ばかりが語られます。保険診療での栄養指導も昔は点数が高かったのに、かなり点数が下がっています。縛りも増えて、必ず管理栄養士が必要だと書かれています。
でも、管理栄養士こそ、栄養のことを分かっていないんですけどね。うちでは、栄養指導を栄養士に行ってるぐらいです。他人事で勉強してきた、若い人たちなので、心底わかっているわけじゃないんです。一番いい指導者は、長年糖尿病と闘ってきた高齢の患者さんだと思います。特に、インスリンを打ってる人は、何を食べれば血糖が高くなるかよくご存じです。
資格を持ってる人のほうが実践では使えないと言うことは、他でも感じます。記録ばかりうるさく言われてきた、臨床検査技師は、エコーの検査をまともにすることができません。エコーでは、全体を眺めてから、異常があれば異常の場所を、異常がなければ、正常だと言う証明を残すだけです。記録する際に、ある一定のルールを作っておいたほうが見落としがなくなるのですが、かといって、記録は単に証拠を残すだけなので、あまり重要ではないんです。
意味を考えないで、行われていることはまだまだあります。糖尿病で入院中の方に行われるスライディングスケールです。びっくりするような指示を見ました。一日4回の強化インスリン療法をしながら、スライディングスケールでの指示、おまけに寝る前の血糖値によって、基礎インスリンの量の変更を求めたものです。どこかの病院から送られてきた人ですが、そこまで調べて、血糖値は80から300以上の乱高下をしています。
そんな馬鹿げた指示があると、友人に話すると、どこでも当たり前に行われていると言っていました。元々、スライディングスケールは、投与すべきインスリンの量を決めるために行われていたもので、長期間の管理には向きません。外科では、手術後の絶食と高カロリー輸液を行うために、頻繁に行われていました。でも、調べるから次の指示が必要になるわけで、調べなければ何もあわてることはないのです。
老人病院では、不必要な薬も多く見かけます。いつ、どういった理由で始まったかすらわからないのです。お年寄りたちは、何軒かの病院を転々として、老人病院にやってくるし、本人から話を聞ける状態ではないし、家族はもっと情報を持っていないからです。ひどいものでは、薬剤の血中濃度の管理をすることで、管理料が取れるからされていたのかもしれないと思うものまであります。考えすぎかもしれませんが、つじつまが合わなければ、そう思ってしまいます。
週一回ですが、PHSもないし、紙カルテだし、レントゲンもフイルムのままの老人病院で、昭和初期に戻ったような医療をしています。お年寄りたちは、心エコーをしに行くと、とても喜んでくれます。本を覗き込んだり、画面を覗き込んだりします。いつまでたっても、興味があるんですね。これが心臓ですよ、しっかり動いていますよって話しながら、お年寄りのうれしそうな顔に癒されています。