インスリンの治療変更
インスリンの治療変更を頼まれました。低血糖ばかり起こすのでしんどいということでした。患者さんは、クリニックまで1時間もかかるのに、何度か来てくださいました。自分でも何を食べれば血糖値が上がるか、寝る前の血糖値がいくらなら、翌朝低血糖を起こすか知っておられたので、治療変更がうまくいきました。まだ、途中経過ですが、報告しようと思いました。
治療開始前
OGTT
治療変更中
この治療変更は、日常生活をしたままで行いました。入院する暇もなく働かれているからです。日常生活をそのまま続けながらなので、食事日記はつけてもらいました。糖尿病の食事療法は、かなり昔から受けておられるので、量などの管理はしっかりされていました。食事に関して変更したのは、まず、茶がゆで食べておられたご飯を白米か玄米の普通の硬さに変えてもらいました。次に、食事ごとにとられていた果物は、やめてもらいました。最後に、夕食のご飯は必要ないことを説明しました。
ちょっとした食事変更だけで、血糖が安定してきて、体重も落ちてきました。糖毒性や、脂肪毒性から抜けられたのだと思います。そこで今度は、果物は、手のひらに乗る量なら、朝食後なら食べて言い、夕食にご飯半膳ならいいと、制限をやめて行っています。血圧は、自宅で朝と寝る前に測ってもらい、降圧剤は、3分の一に減らしました。それでも、低い目なので、やめることができると思います。
血糖値を安定させれば、血圧も安定してくるのです。高齢者は、あまり血圧を下げすぎると脳梗塞を起こしますので、降圧剤は必要なくなるでしょう。Cペプタイドは、最初は0.5-0.7とかなり低めでした。インスリンを打っている際は、インスリン値を測っても仕方ないので、インスリンの分解産物であるCペプタイドで、膵臓から出ているインスリン量を測ります。0.7以上が正常値なので、ほぼ出ていない状態でした。
ところが、血糖を上昇させるグルカゴンを分泌するα細胞の肥大が改善されると、インスリンを出すβ細胞が復活してくると言う話があります。なんとかその時期を待とうと考えていたら、たった3週間ほどで、Cペプタイドが1.0と正常域になりだしました。これなら、持効型インスリンをやめて、インクレチン関連薬のビクトーザに変更できそうです。
ビクトーザに変更できれば、低血糖の心配がなくなるので、食事制限もかなり緩めることができます。現在は、寝る前の血糖値が150以下なら、インスリンを減らして、150以上なら、元の量でと変えてもらっています。ほとんどの日が16単位で済んでいるようです。こういった治療変更は、日常生活を行いながら行うことに意味があると思います。糖尿病歴が長い方は、低血糖が起きた時の対処方法もご存じです。内臓肥満があり、心臓も悪いからあまり早く歩けないとおっしゃっていましたが、内臓肥満が解消されてきたので、きっと体も軽くなっていると思います。
患者さんの望みは一つです。もう年なんだから、好きなものたべたいんや。。
歳をとっていなくても、みんなそう思いますよ。食べる物の制限があれば、人生楽しくありませんから。今日は、まだ途中経過しか報告出来ませんでしたが、後日もっといい報告ができると思います。