笠井の里の開所式に行ってきました。
へき地医療を何とかしないとならない、その一環で岡山に笠井の里というデイサービスの施設がオープンしました。私は、大阪からメールでサポートすることになっています。日曜日に開所式があったので、出席してきました。
デイサービスの施設を作ったと言うので、ありきたりな建物を想像していました。鉄筋コンクリートの三階建、広めの駐車場。広めの病室のような居室、白衣を着たスタッフ。
ところが、予想に反して全く違ったものでした。古民家を改装しただけの場所に、小さなリハビリスペース。畳の部屋もありました。屋内には、立派な梁と、わらぶき屋根がむき出しになっています。スタッフは、作務衣を着ていますし、昔農機具を置いていたんだろう部屋には、古いものが展示されていました。それと、車一台しか通れないような山道を登って行った、山奥なんです。
古民家を残すためにはどうしたらいいだろうかというところから、話が始まったようです。誰も済むものがいなくなった古民家ですが、いろんな人の思い出の場所だったのです。それをどうすれば、残していけるかってところから、デイサービスの施設を作ったのです。地区の方は、大喜びでなんとかサポートしていきたいと。老人会も大歓迎。山里の地を大事にしたいと言う人たちの思いがこもっていました。
リハビリには、最新の機械が入っていました。介護になる前に予防しないとならない、そういった思いが作った器械だそうです。まだ、研究段階だそうですが、コンピューター管理で、各個人に合わせたプログラムができるようなので、期待できます。大阪にも、リハビリ専門病院、脳外科の急性期病院で、理学療法士たちが頑張っているので、是非持ち込んでほしいと思いました。
ご夫婦の夢だったようで、開所式でふたり並んで、本当に感慨深い様子でした。岡山では、同級生の整形外科医が、サポートしてくれます。開所式も同行してくれました。現地の医者と、大阪からのバックアップ。新しい考え方のサポートができると思います。
これを作った人は、東京の会社の会長まで務めた人です。エリートですよ。でも、やりたいことがあるからとやめて、会社を二つ起こしていました。北海道での乳がん啓発セミナーを頼まれたことがきっかけで、何度か会って話をしていました。紳士的な服装で、東京的な落ち着いた話しぶりだったので、てっきりかなり年上だと思っていました。だいぶたって、実は同い年なんですよと聞かされて、びっくり仰天しました。
なにも、その年から苦労しなくてもと思うことはいっぱいありました。彼も、今からが大変です。過去にもありました。動物病院をしている7歳くらい年上の先生です。動物病院の3階で、ギターを弾いて聞かせてくれていました。ある新聞の募集記事から知り合ったのです。メンバー募集って。メンバーにはなれないけど、バンドやってますって連絡したら、近くの動物病院の先生だったんです。
彼も、動物病院を立て直しました。それでなくても、経営が大変だったのに、なんで作ったんですかって聞くと、夢だったんですって。気持ちが穏やかになるログハウスの動物病院は、動物たちにとっても、素敵な場所なんだろうなと思います。そこの、二階でライブが催されました。男女二人の演奏は、ギターとバイオリンという異色のもので、本当にびっくりしました。
常識なんて、くそくらえだな。その時、そう思いました。会社作るのもありだね、バンドのメンバーにそう話をしました。医者を取り巻く医療関係者のほうが大変なことになってる。それをサポートしよう。それがきっかけで、ITの会社を作ったんです。ITの技術で、作業の効率化を測れば、みんな楽になるよって。
財産なげうってでも、やりたいことがある。そういう人は、応援していきたいものです。再び岡山をおとづれて、お年寄りたちの昔話を聞いてみたいと思います。昔話をしたくなるような、空間ですからね。