検診の現場の変化
検診の現場も昔とはさまがわりしてきました。聴診する際に、ブラジャーを取らないのは当たり前、それどころか若い人たちは、聴診に対して誤解した知識を持っています。聴診するので、胸を開けてくださいと言うと、シャツを前方に引っ張り出すのです。これは、下から聴診器を入れて、聴診しろという行動で、胸は見せないやり方です。
なぜこんなことになったのか。私も中学の校医をしていました。その学校では、保健の先生がとても熱心な方で、女生徒たちにも必ず胸を出させていました。先生がちゃんと聴診できないんだから、ちゃんと胸を開けなさいと指導されていました。ところが、診察の段になってもどうしても胸を出してくれない子がいます。結局、胸を出させると、Tatooはあるは、キスマークはできているわ、ピアスが出てくるわで、大変でした。
シャツを前に引っ張り出す方法は、中学校によってはされていたようです。おそらく、ブラジャーを外させて、Tシャツにして前に引っ張り出していたのだと思います。ブラジャーをした状態では、聴診できる場所が少ないので、Tシャツの下から、聴診するのは難しいからです。校医が男性の先生だったのかもしれません。でも、最近のブラジャーはかなりゴージャスで、見せて歩く人もいるぐらいだから、なぜ隠すのでしょうね。
検診会場で、シャツを前に出した人に、どうしてそうするのか聞いてみました。聴診の時は上にあげるものでしょうと言うと、上にあげるイメージがないとのことでした。また、上にあげても手を離してしまう人がいます。看護師がついていたら持ってくれますが、検診では看護師は同席しないので、医者が服を抑えて聴診する羽目になります。でも、全く悪気がないし、気がつかないんです。
スタッフともいろいろ話をしてみました。採血するから腕を出してくださいと言うと、長袖をまくることなく出す人もいるそうです。こういった人たちは、ゆとり教育の世代だと思います。なんでも大人がやってくれたんでしょうか?心電図の現場でも、へそピアスをして、へそ出しファッションをしている人ですら、おなかすら隠されるそうです。女性に配慮して、女性スタッフでそろえていても、こういった事態が起こるのです。
企業側にも言いたいことがあります。女医をと指定してくるなら、診察を受ける際のマナーを十分教育してから、受けさせてほしいものです。Tシャツでって書いてあったけど、キャミソールではだめなのかと聞いてきた人もいます。理由を考えないから、そんな質問が出るのです。ワンピースを着てくる人もたくさんいます。その時は、ワンピースをまくりあげてもらいます。恥ずかしい思いをしたら、来年、ちゃんと準備してくるだろうと思うからです。
ワンピースの下にTシャツを着ていた人が多かったので、Tシャツを着ていればいいと思ったのでしょうね。これも、なぜそうするのか理由を考えないからです。若い男性にも特徴があります。ワイシャツを開けて、聴診させてくれるのですが、ズボンの中に戻すのを恥ずかしそうにするので、ゆっくり直したらいいよと言って、診察室を出てあげます。昔は、ワイシャツをズボンを出したままで、診察室から出て行って、トイレにでも行って治していたんだと思います。次はレントゲンですよと、次も脱がないとならないことを教えても、ちゃんとズボンの中に治してから出て行きたいようです。
医療の現場でも、若い人たちは言いたい放題です。咳が止まらないと言うので、レントゲンを撮りましょうと言ってオーダーすると、外に出てから、検診でレントゲンは取ったから、要らないとキャンセルします。検診は、何週間か前の話で、咳が出ていなかった時のものですから、全く理由が違うのですが、とりたくない理由を医者には言わずに、平気でキャンセルするのです。自分が受けたい医療だけを選んでいるようです。
どうしたら、まともな医療に戻せるのか。日々そんなことを考えています。