かぜについて(成人気道感染症ガイドラインより抜粋)
1. かぜ症候群の自然経過は5-14日間であるが、
一般には3-7日間で軽快するものである。
2. ほとんどがウイルス感染であり、いろいろのウイルスが関係する。
3. かぜ症候群の原因ウイルスに対応する抗ウイルス薬は存在しない。
(インフルエンザにのみ抗ウイルス薬が有効)
4. 抗生物質(抗菌薬)は“かぜ”に直接効くものではない
5. 抗生物質(抗菌薬)を頻用(乱用)すると副作用(下痢、アレルギー)や耐性菌の出現が見られる。
6. いわゆるかぜ薬は、症状を緩和することを目的として用いる。対症療法の治療薬に過ぎない。
7. 多くの風邪薬、とりわけ総合感冒薬はかぜの治療に必ず効果がみられる訳ではなく、連用すると副作用を見ることもある。
8. 発熱は体がウイルスと戦っている免疫反応である。発熱によってウイルスが増殖しがたい環境条件が作られているのである。従って、“かぜ”に伴う発熱や痛みなどの症状が激しい場合にのみ、解熱・鎮痛薬を屯用で服用する。この場合、アセトアミノフェンなどの解熱作用の柔らかな薬物が推奨される。
9. 食事摂取が十分出来ないとき、消化性潰瘍の既往がある人、アスピリン喘息、腎不全の人などにはアスピリン、イブプロフェン、ナプロキセンなどの解熱・鎮痛薬は禁忌となっているので注意する。
10.いかなる薬物にも副作用が起こりえると考えて、服用する薬物名と量を記載しておき、何らかの異常の発現があれば、早めにかかりつけの医師または薬剤師と相談する。
11. 症状の持続(4日以上)や悪化がみられる場合は、速やかに医師の診断が必要である。
12. うがい、手洗いの励行は患者の健康教育の一環として重要である。単なる水道水や食塩水などによるうがいは、殺ウイルス作用が見られるわけではない。うがい薬としては明確な殺菌、殺ウイルス効果が認められるポピドンヨード(イソジン)を用いるのが望ましい。特に外出からの帰宅時にはうがいと手洗いを習慣づけるように指導する。
13. “かぜ”は発症時、特に発熱時に最もウイルスが伝播しやすいので注意する。
<成人気道感染症ガイドライン 患者啓発の重要項目より抜粋>